「個人差の50%は遺伝で決められている」という現実 このたび執筆した『なぜヒトは学ぶのか−−教育を生物学的に考える』では、生物学的な視点から新しい教育学を描くという、これまでにない新しい試みにチャレンジしました。 これまで、人間の能力や性格の個人差に及ぼす遺伝の影響が無視できないという行動遺伝学の知見を紹介し、教育や格差の問題について発言してきました。 能力の向上や人間形成のために、学ぶこと、教育を受け続けることは必要不可欠です。しかし、能力がどのような形でどの程度の高さまで伸びるのか、性格や価値観がどのように形成されるかには、遺伝子による影響が無視できないほど効いていることを、行動遺伝学は膨大な双生児データなどから明らかにしてきました。 私のこれまでの著作(『日本人の9割が知らない遺伝の真実』など)では、このような知見を紹介しながら、ヒトの個人差の生物学的現実を直視し、科学的に妥当な認識