「製品やサービスを使うユーザーの立場に立って開発しなければ、真に使用性(ユーザビリティー)の高いモノは作れない」――ものづくりやシステム開発などの現場において、こうした「ユーザー目線を持つこと」の重要性は昔から言われ続けてきた。そして実際に、多くのメーカーやベンダーが、この言葉通り少しでも使用性を高めるべく奮闘し、これまで次々と優れた製品やサービスを世の中に送り出してきた。 だが、人間の欲求はとどまるところを知らない。蛇口をひねれば清潔な水がじゃぶじゃぶと出て、リモコンのボタンを押せば多チャンネルのハイビジョンテレビが見られ、PCを立ち上げればブロードバンドでネットに即アクセスできる。これらのことに驚く日本人は、今やほとんどいないだろう。人は、手に入れた便利なものをすぐに所与のものとして「それ以上の便利さ」を次々と求めるようになる。つまり、同じ「ユーザー目線」「使用性」といっても、昔よりも