この本の内容 『指輪物語』『ドリトル先生物語』『少年キム』『黒馬物語』など名作の読み方と、ファンタジーの可能性を追求する最新評論集。「子どもの本の動物たち」「ピーターラビット再読」など。 著者 アーシュラ・K・ル=グウィン (ル=グウィン,アーシュラ・K) 1929年アメリカ生まれ。62年作家デビュー。ネビュラ賞、ヒューゴー賞など主要なSF賞をたびたび受賞。著書に『ゲド戦記』シリーズ、<西のはての年代記>3部作、『闇の左手』など。2018年没。 谷垣 暁美 (タニガキ アケミ) 1955年大阪生まれ。翻訳家。訳書に、ル=グウィン<西のはての年代記>3部作、『ラウィーニア』『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』、フォード『言葉人形』、トレヴァー『恋と夏』など。 この本の感想をお寄せください 本書をお読みになったご意見・ご感想などをお気軽にお寄せください。 投稿された内容は、弊社ホ
【翻訳】ル=グィンさんから日本の読者にあてたメッセージ To my Readers in Japan http://j.mp/e1KTuX --------- ル=グィンさんのメッセージを、翻訳者の谷垣さんが訳してくださいました。許可を得て掲載します。 谷垣さんは、ル=グィンさんがこのメッセージを伝えたい人、このメッセージによって力を得られるかもしれない人に伝わることを願っています。 --------- わたしの翻訳者で友人のアケミ・タニガキ(東京在住)に短いメールを送った。返ってきたメールはこういう書き出しだった。 「心配してくださってありがとう。 わたしは大丈夫で、家族もみな、大丈夫です。 だけど、とても悲しくて、無力感と心配でいっぱいです」 そして、そのメールには、日本のあなたの読者にあてた簡単で短いメッセージを公式サイトに載せてもらえないか、と書いてあった――「非常につらい目にあっ
ドラゴンフライ アースシーの五つの物語―ゲド戦記〈5〉 (岩波少年文庫) 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,ディビッド・ワイヤット,Ursula K. Le Guin,清水真砂子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/03/17メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る 原著は2001年3月に刊行された中短編集。翻訳版は以前、『ゲド戦記外伝』 という題で別巻扱いになっていたが、岩波少年文庫版では第5巻になっている。『アースシーの風』 のほうが執筆、原著刊行ともにあとなので、そちらを第6巻とするのが正解。したがって、当ブログでは 『ドラゴンフライ……』 を5と呼ぶことにする。 ル=グウィンがゲド戦記を書くとき、現実の世界では戦争が起る。 1〜3が書かれたのはベトナム戦争中だった。(これは今読むと、ああ、そういう時代の話だよな、というのが理解できる。
帰還―ゲド戦記〈4〉 (岩波少年文庫) 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,マーガレット・チョドス=アーヴィン,Ursula K. Le Guin,清水真砂子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/02/17メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (9件) を見る 15年ぶりくらいに再読。5と6は未読。 4は2の結末から25年後、そして、3の結末の直後の時代の話になっている。主人公テナーはすでに40歳を過ぎた未亡人で、二人の子供たちは独立している。 テナーの視点、心理描写が全体の9割を占めていて、過去を回想する場面がやたらと多い。小説としては後日談というよりも、1〜3の物語を1990年代の視点で再解釈しようとしたものだと考えられる。 ゴントの山奥の農村が舞台のほとんどになっている。農村の風景や生活が詳しく描かれていて、何よりも食べ物の描写が良い感じ。
さいはての島へ―ゲド戦記〈3〉 (岩波少年文庫) 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,ゲイル・ギャラティ,Ursula K. Le Guin,清水真砂子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/02/17メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (13件) を見る 15年ぶりくらいに再読。 少年アレンの人間的な成長の物語として読めば、シリーズ中最高作だと思う。 だが、それ以外の部分はちょっと変な話である。例えば前半ホート・タウンが荒廃して人々が無気力になりハジア(麻薬)を食べている場面と、後半の黄泉の国の戦いの場面はどう考えてもつながっていない。戦いの勝利が麻薬問題を解決するとは思えないのである。物語に必要な一貫性を欠いているのではないか? 《海洋冒険小説》 みたいなのが好きなので、航海の場面(かなり長い)は満足。南へ進むと見たことのない星座が現れる、と
1を読むのは3回目。まとまらないので箇条書き。 4までしか読んだことがなかった。今回は岩波少年文庫で6まで読むつもり。 以前読んだときは、1と3が面白いと思った。主人公の冒険が多いからだろう。でも、2が一番好きという人もいる。 1は過去2回読んでいるのに、細かいところなど完全に忘れていた。 ル=グウィンの文章は読みにくい。いろんな事柄をたくさん詰め込み過ぎていて、理解するのに時間がかかる。(でも、全体の読後感は悪くない。) 全10章のうち、ゲドが親友カラスノエンドウと再会する9章以降、俄然面白くなるのだが、そこまでが長い。 カラスノエンドウとその妹ノコギリソウのキャラクターは最高。でも、ちょっとしか出てこない。 口絵の地図に描かれているのは、およそ1,500マイル四方。インドネシアとフィリピンを合わせたくらいの広さで、アメリカ合衆国本土よりは広い。(それにしても、見にくい地図だ。) ゲドの
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