『デス博士の島その他の物語』をはじめて読んだのはいつだったか、 今では覚えていない。 その後『20世紀SF』に収録されたのを読んだが、感想としては 地味なファンタジーだな、というくらいでしかなかった。 一見して非常にわかり易く書かれているので、こちらとしては書いてあるとおり 「小説の人物が現実に現れ、ちょっとした大人の秘密を垣間見せる話」だと 受け取っていた。これだけでは、べつに驚くような話ではない。 小説がうまいとか、叙情的だとかいう部分は今ひとつ感じず、 けっこうそっけなくてあっさりした話にしか見えなかったのだ。 今回『ケルベロス』を読み、『アメリカの七夜』を読み、『ショウガパン』を読んで 中短編でのウルフの曲者ぶりを思い知らされた。 さらに若島氏の「デス博士ノート」の中で少し気になるところがあったので、 今回はこれを手がかりに、「デス博士の島」を再び廻って見ようと思う。 (以下、若島