PDFで読む テオドール・W・アドルノ(1903-69),モーリス・ブランショ(1907-), クレメント・グリーンバーグ(1909-)。 ドイツ,フランス,アメリカと国籍こそ違いながら,ほぼ20世紀の同時代を生きた3人。それぞれ,音楽,文学,美術という領域において,重要な批評のディスクールを残した,あるいはいまなお実践しているこの3人。 しかし,この3人の批評言語が何らかのかたちで関係づけられたり,あるいはあからさまに比較されたりするようなことは今まであまりなかったのではないだろうか*1。たしかに,たとえばアドルノは,シェーンベルクとストラヴィンスキーを論じた『新音楽の哲学』の序論で,グリーンバーグの1939年に発表された論文「前衛と通俗物」に言及しているし*2,またブランショは,評論集『終わりなき対話』に収められている「アルス・ノーヴア」と題されたトーマス・マンといわゆる「新ウィーン楽