京都ゆかりの国宝、皇室の至宝の数々を出品する特別展「京(みやこ)の国宝―守り伝える日本のたから―」が、7月24日から京都国立博物館で始まります。「明月記」を伝えた冷泉(れいぜい)家、「御堂(みどう)関白記」を守った近衛家、そして多くの寺社が、相次ぐ戦火、天災など歴史の波をくぐり抜け貴重な文化財を守り伝えてきました。京都人の歴史を伝える矜持(きょうじ)とその意識を育んだ京都の地を紹介します。 陽明文庫蔵「御堂関白記」 藤原道長の日記 藤原道長(966~1027年)の日記「御堂(みどう)関白記」を始め、近衛家に伝わる十数万点の古文書や古典籍、古美術工芸品を保管するのが陽明文庫(京都市右京区)だ。近衛家は藤原北家の嫡流で、摂政や関白を務めた五摂家の筆頭。 陽明文庫は1938年、首相だった近衛文麿が設立。仁和寺に隣接する近衛家所有地に高床式鉄筋土蔵造りの文庫2棟を建てた。 それまで近衛家の資料は数