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ブックマーク / douyaramiso.blog59.fc2.com (14)

  • みそ文 なにものでもなく

    自分が好きなこと、自分がせずにはいられないこと、何かに突き動かされるようにそうしてしまうこと、などが、私には何かあるだろうか。ないから残念、というわけでも、ある人がうらやましい、というわけでも、自分にもあったらいいな、というわけでもないのだけれど。どちらかというと、私は、折々に、私には、そういうものが特別見つかっていなくて、よかったなあ、と思うのだ。 そうせずにはいられないものが、たまたま、個人的にも家庭的にも社会的にも受け容れられやすい種類のものであれば、問題なく平穏に過ごしやすいのだろうけれど、必要以上に手を洗わずにはいられなかったり、自分の髪の毛を抜かずにはいられなかったりする「強迫性障害」的な表れ方をしたときには、それはそれで人も周りもいろいろとつらいものがあり、その治療にも折り合いにも手間や時間が多く必要だ。あるいは、自分の中から、止めようのない犯罪傾向が突き上げてくるとしたら

  • みそ文 だれにもまけない

    「なにかひとつだけでいいから、これだけは誰にも負けない、というものを見つけなさい」。どこで誰が言った言葉なのか、全然思い出せないけれど、子どもの頃に、この言葉を聞いた私が感じたことはよく憶えている。『誰にも負けない、って、この地球上の三十八億人(当時地球人口は三十八億人だったのだ)全員と、競い合うのも、その頂点に立つのも、そんなの無理だし、面倒くさいし、いやだよ』。 「誰にも負けない」というのは、そういう意味ではなかったのだな、ということが、今ならばたぶんわかる。「誰にも負けない」というのは、他人と競い合った結果、というよりは、自分自身の鍛錬や修練の結果、自分自身がある程度、じっくりとその何かを行うことも味わうことも可能なレベルに達した状態をいうのだ。 「これだけは」というときの「これ」とは、何かが上手にできることや、何かの役に立つことや、広く知られることや、何らかの形で褒め称えられること

    florentine
    florentine 2010/03/06
    「そのときの、その季節の、その時間帯の、その庭に接しているのは、この星の上に生きる人間の数を思えば、ごくわずかな人数のみだ」
  • みそ文 文体道場

    年末年始に帰省したときに、文体の規則性について、更なる学習を求めてみた。夫の実家に泊りがけで遊びにきて、冬休み宿題中の、夫の甥っ子たち(中二と小五)に頼んで、国語の教科書を見せてもらう。現在の学校教育でも、国語教科書(縦書き語)では、台詞を「カッコ」で閉じるときには、句点をつけて閉じてある。「横書きではどうなのか知りたいな」と私が言うと、上の甥っ子のたるるが、「横書きならこれかな」と、英語のテキストを出してくれる。「あ、ありがと。でも、知りたいのは日語の横書きなんよ。数学か理科か社会があったらうれしい」と言う私に、「教科書はないけど、ドリルならある」と全教科のドリルを見せてくれる。 あたりまえではあるのだが、数学や理科や社会の文章に、台詞は、ほぼない。私があまりに熱心に教科書やドリルに見入っていて、宿題しづらくなったのだろうか、甥っ子たちは、外に出て、どすどすどす、と、バスケットボー

  • みそ文 互角

    夫は、昨年の秋頃から、囲碁を始めた。これまでは何十年も将棋で来た人なのに、何をどう思い立ったのか、突如として囲碁を始めた。我が家にはまだ碁石も碁盤もなく、修行場所は、オンライン囲碁ゲーム道場と、書籍によるプロからの指導、が主である。 年末年始の広島帰省にあたり、夫は義父(夫の父)と囲碁対戦することを、帰省前から、とても楽しみにしていた。生まれて初めて生の人間と対戦できるのだから。義父は、囲碁歴約五十年以上のベテランだ。自営の理髪店内にも、自宅の居間にも、別々に碁石と碁盤を持つほどに、熱心な囲碁道の人だ。にもかかわらず、夫は、「意外と、おやじは、俺より弱いんじゃないか」だとか、「あっけなく勝てるかもしれない」などと、ふとどきな発言を繰り返していた。でもまあ、それは、対戦前の自身を鼓舞するテクニックとして、まあよし、なのかもしれない。そして、年末、夫は、仕事を終えた義父に、実際対戦してもら

  • みそ文 おくりびと

    実家の母から電話がかかる。「どうやらのお父さんとお母さん(私の夫の両親)から、お歳暮をいただいたけん、また、よろしゅう伝えておいて」という内容。夫の実家周辺では、地元で採れた農産物で作った味噌やおやきな粉や干し柿など、少しずつの詰め合わせセットを、ふるさと商品として販売しているらしい。昨冬だったか、義母が初めて、その商品を選んで、私の実家の両親に贈ってくれたときに、私の母が「ちょびっとずつなのか嬉しい。いろいろ試せるのが嬉しい」とたいそう喜んでいた話を、義母にした。だからなのか、今年も同じシリーズの今年版を、選んで贈ってくれたようだ。 それとは、別件での、母からの連絡事項は、父がお気に入りの九州の温泉宿に出かけて、いつもの焼き物の新しいバージョンを買ってきて、「みそにも、要りゃあ、送っちゃれえや」言うんじゃけど、配達時間はいつもどおり、夜8時以降でええかね、ということであった。 「ちょっ

    florentine
    florentine 2009/12/17
    イベント、はあるかも……何かこう、ワクワクドキドキ的な行為/「燦然」!! そう、ああいうメールはキラキラして見えます☆
  • みそ文 麩まんじゅう

    実家の祖母が生きていた頃。私はどこか出かけた先で、柔らかくておいしそうべ物を見つけると、「ばあちゃんへのお土産」と称して買って帰る習慣があった。実際には、ばあちゃんだけがべるわけではなく、私も他の家族もべるけど。 ばあちゃんは、夕が済むと、小さなお弁当箱かプラスチックケースに、果物を切ったものや、その日にある柔らかいお菓子を、遠足のおやつのように詰め込んで、自分の部屋にひきあげていく。長年愛用の小さな水筒(以前駅弁と一緒に買った緑茶が入っていた容れ物)に、ほうじ茶も入れて持っていく。布団に入って、お気に入りの時代劇をテレビで見ながら、「後のデザート」を堪能する。ばあちゃんは、そのおやつとお茶のセットのことを、「夜のおやつ」と呼んでいた。 私がある日出かけたときに、駅の売店で見つけたのが、「麩まんじゅう」。生麩は私の大好物。中にあんこが入っていて、ふにゃふにゃもちもちと美味しそう

  • みそ文 魔法と智慧

    この世を味わう力と、自分を味わう勇気を。 ほんの一歳か二歳か、まだ三歳にはならないくらいの、とても小さな私が、広島の、祖父母の家で過ごした時。当時のことを後年祖母は、何度も語って聞かせてくれた。 その話をする前に、ちょっとだけ解説。当時の扇風機は今とは異なり、体と電源を繋ぐコードの途中に、プラスチックの塊があり、そこについているスイッチを押すことで、電源を入れたり切ったりする仕組みであった。後の文中に出てくる「扇風機のスイッチ」とは、手のひらにおさまるくらいの大きさの「プラスチックの塊」のことである。そして、私が幼少の当時は、けっこうな昔であるため、全ての家庭に電話があったわけではなく、電話はまだやや珍しい存在であった。祖父母の家にはたまたま電話があったが、その電話は柱の高いところにくっついていて、子どもの手には届かない。もちろん「おもちゃの電話」などない。たとえあったとしても、私の周り

    florentine
    florentine 2009/10/30
    「あのとき、じーちゃんは、私に魔法をかけたのだ。一生、ぜったい、消えない魔法。私の存在を全て肯定する魔法。私の能力を全て信頼する魔法。そして私に授けてくれた。この世を生きるすべての智慧を。」
  • みそ文 製本への道

    「みそ文」を読んでくれているおじやおばたち(母の兄や姉妹たち)が、「みそ文をにしたらいいのに」と言ってくれるから、と、母が「お金は私が出すから、ブログをにするには、何をどうしたらいいのか、いくらくらいかかるのか、調べてみてほしんだけど。で、手続きもしてほしい。きょうだいたちに配りたいから」と言う。これまでは、母がPC画面をプリンターで印刷したものを、一か月分ずつまとめては、母のきょうだいたちに郵送してくれていた。姪っ子(私)に甘いおじやおばたちは、そのたびに、「おもしろい! おもしろい!」と、母に伝えてきてくれる。それに気をよくした母がまた、翌月分も送りつける、という繰り返しであった。 たしかに、コピー用紙をクリップやステープラー(ホチキス)で留めたものを、一枚ずつ、べろりんべろりん、と、めくって読むよりは、の形になっているもののほうが、ずいぶん読みやすいことだろう。製かあ。どんな

    florentine
    florentine 2009/10/29
    がんばってください!応援しております☆/もしも見つけられたらご連絡しますね。
  • みそ文 布団乾燥機の仕事

    我が家の布団乾燥機は、たいへんに働き者だ。十五年近く前に、三千円弱で買ったものが、未だに現役で大活躍中。冬場吹雪が続いたり、花粉症の季節だったり、梅雨で雨がしとしと降ったり、いろんな理由で布団を外に干せなくても、布団乾燥機があれば、いつでも布団はふんわりかんわり。快眠求道者としては、これはもはや生活必需品と言っても過言ではないであろう。 数年前の冬、友人宅に一週間弱滞在することにしたとき、布団乾燥機も貸してもらっていいかな、と、事前に所望してみた。友人は、「うちのどこかにあるはずなんだけど、もうずっと使ってなくて、今のマンションに引っ越してきたときに、どこに片付けたのかわからない。捨ててはないはずなんだけど、もしかしたら置く場所がなくて、夫の実家に置かせてもらう荷物の仲間に入れたのかも。」と説明してくれる。そういうことなら、と、布団乾燥機はそんなに高いものではないし、この冬何度か泊めてもら

    florentine
    florentine 2009/10/26
    なんていっていいかわからなくて、拍手連打してきた。言葉、ことば。「ありがとう、なん」
  • みそ文 お粥の場所

    入荷した商品の補充作業中。医薬品ドリンク売り場にて、袋詰め作業をしていたら、8歳か9歳くらいだろうか、小さな女の子が近寄ってきて、私に話しかける。小さな人ではあるけれど、話し方はきちんとしていて、「すみません。このおみせには、おかゆはおいてありますか?」と、丁寧な言葉で質問してくださる。 「はい。お粥ですね。品コーナーのレトルト品の棚のところにございますので、ご案内いたしますね。」と、言いながら、小さなお客様を誘導する。途中の通路にさしかかったとき、小さなお客様は、通路から見える場所にいらっしゃる大人の女性にむかって、「おかあさん!こっちにおかゆ、あるって。おみせのひとにきいたら、やっぱり、ちゃんと、あったよ。」と、声をかける。 お母さん、と呼ばれた女性のお客様が近くにいらっしゃるのを待ってから、「お粥はこちらの棚になります。あ、上の段にも、箱入りで、お粥のシリーズがありますね。こちら

    florentine
    florentine 2009/10/24
    「おねえちゃん」であることを、存分に全うしていて素敵だなあ。と思いつつ、でも、えーとね、おねえちゃんでもね、甘えたり、誰かにお世話になったりも、上手にちゃんとしていこうね、と、こころの中で話しかけた」
  • みそ文 金と銀

    夫の趣味のひとつに「コイン収集」がある。一口にコインといっても、夫の興味の対象は、もっぱら銀貨だ。過去に流通していた、そして、現在は通過として使用できない銀貨がお気に入りらしい。流通とは無関係の、一部の記念硬貨も対象となるようだ。それらの何がどう魅力的なのか、私にはよくわからないのだが、何かぐっとくるものがあるのだろう。コイン専用のアルバムに収めた銀貨たちを、自室でにやにやと眺めるのが、夫の、ゆっくりとした時間のおたのしみ、だ。 もうずいぶん前のこと。広島の夫の実家に帰省したときに、夫が、銀貨を集めている話をして、義父に、「とうさんが前に集めたやつ見せて。」と頼む。義父は、どうだ!というかんじで、義父コレクションを出してくれる。夫は、なにやら、鑑定士みたいな手つきで、一枚一枚眺めては、うんちくをたれる。義父のコレクションには、夫の好きな銀貨だけではなく、金貨も含まれている。夫が「俺は、銀貨

    florentine
    florentine 2009/10/18
    「それがコイン収集家としての俺の使命だ!」
  • みそ文 将棋の道

    将棋は、夫の趣味のひとつである。先月お彼岸の帰省時にも、私の実家の母の部屋で、夫は、母のPCを借りて、ネット将棋に勤しんでいた。 あともう少しで夕ご飯ができそうだねえ、という話を、母や妹と居間でしていたら、甥っ子のむむぎー(弟の子)が、「じめいさん(夫)、どこにおるん(どこにいるの)?」と訊いてきた。私が「ばあちゃん(むむぎーにとっての祖母)の部屋でインターネットの将棋をしょうるよ(将棋をしているよ)。」と応えると、むむぎーは、「おれ、じめいさん、呼びに行ってくる!呼びに行って、一緒に将棋見てくる!」と言いながら、疾風のように去っていく。 事の仕度が完全にできあがっても、夫とむむぎーは戻ってこない。それでは、私が呼びに行きましょう、と、てくてくと、母の部屋へ向かう。 PCの前では、夫が、のめりこみ気味に座っていて、その右側の椅子に座ったむむぎーも、横から、やはりのめりこむように、覗き込ん

    florentine
    florentine 2009/10/14
    「今度の、お正月に帰省したときにも、むむぎーの、将棋の道の歩みは、続いているかなあ」またお聞かせ願いたいです☆
  • みそ文 湯島の白梅

    私と、3才年下の弟と、5歳年下(弟よりも2歳年下)の妹は、3人きょうだいだ。三人の中で、人に何かを頼んだり、何かをしてもらうことに一番抵抗が少なくて、おねだりも享受も上手に滑らかにするのは、妹だろうと思う。 先日も、おもむろに、「ねーちゃん、おねがい」というメールが私に届く。何の「お願い」かというと、近々妹が披露する日舞踊に使う曲の紹介文を書いてほしい、というもの。妹が私に作文を依頼することは、まったく珍しくない。今回妹が踊る曲は、「湯島の白梅」という名前の、やや古典的歌曲。私は妹に、「曲の紹介に使える時間や必要な文字数はどれくらい?その紹介を聞く人たちはどういう人たち?いつまでに仕上げればいいの?」と、作文に必要なことを、メールにて確認する。 私に作文を依頼した妹からの返信には、だいたいいつも、「実際使うのは何月何日で、でも、早ければ早いほうがうれしい」ということと、「文章自体は短いほ

    florentine
    florentine 2009/09/27
    はっぴ~な気持ちになれました。ありがとうございます。
  • みそ文 ガンダムの思い出

    8月後半に、「お台場ガンダム」見物のために、家族で出かけた同僚と、バックヤードですれ違い、「ガンダムオタクのご家族(同僚の夫)は、お台場に行って、満足されたみたいですか?」と声をかけてみたところ、「だんな人は言葉では「満足してる」とは言わないんですけど、あれはどう見ても絶対に満足してる、あれで満足してなかったら嘘やわ、というかんじですね。」という答えがかえってきた。 「どう見てもって、どんなふうなんですか?」と問う私に、同僚は、「夜仕事から帰ってきたら、まず、お台場で買ってきたガンダム人形を触ってニヤリとしてから、ご飯をべて、そのあとは、延々、携帯の待ち受け画面のガンダム(お台場で撮影したもの)を見続けてニヤニヤしてます。携帯の画面って、しばらく見てると明かりが消えて暗くなるじゃないですか。そのたびに、またボタンを押して画面を明るくしては、ニヤッとしてます。」と教えてくれる。 ああ、

    florentine
    florentine 2009/09/14
    しあわせのおすそわけ。
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