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ブックマーク / karakusaginga.blog76.fc2.com (131)

  • 唐草銀河

    磯崎愛の小説サイトです。2019年6月現在病気療養中のため更新休止中です。「はじめに」を、年齢制限等をお守りの上、御入室くださるようお願い申し上げます。

    florentine
    florentine 2014/12/20
    たまには本家サイトの宣伝も☆ 毎週金曜更新3年達成後は月一更新にしておりましたが、2015年から月2回更新予定です。どうぞよろしくお願いいたします!
  • 唐草銀河:はじめてのお便り 後篇

    Back Index Next 前略ごめんください。 権兵衛さん、お返事くださって当にどうもありがとう。とってもうれしいです。権兵衛っていう字むずかしいですね。いっしょうけんめい練習しました。 それからわたし、実をいうとあなたをうたがってしまって。おじさま、いえ、叔父がよこしたのかと。でもぜんぜん字がちがいました。字、お上手ですね。達筆というのだと教わりました。わたしもお習字をがんばらないといけません。 前のおたより、木のうろにいれたでしょ。叔父がそうなさいって言ったから。海に流してもだれにもとどかないって。あそこなら、だれかが見つけてくれるんじゃないかって。 いうことをきいて当によかったです。 わたしのお便り、ほめてくれてどうもありがとうございます。祖母にじまんしました。よろこんでくれました。 おっしゃるとおり、はたくさん読みます。なんでも。 学校がはじまると教科書もらうでしょ。そ

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    florentine 2013/10/25
    こちらで週一更新丸3年達成いたしましたー! みなさん、ほんとうにどうもありがとうございます☆ 来月からは月一更新に変わります。今後ともどうぞお付き合いくださいますようよろしくお願い申し上げます!
  • 唐草銀河:審判の日 告解 (191)

    Back Index Next たじろいでいると、浅倉くんがこちらを横目にした。だから家にいてって言ったんだよ、という顔をしているように見えた。そうだよね、ごめんなさいとここで吐き出せればよかったけど、当たり前にそういう余裕はない。頬にはミズキさんの視線が焼けつくようで怖い。怖いというか、痛い。 浅倉くんはがりがりと頭をかいて、ミズキさんへと頤をむける。 「オレは自力でつかまえたいんだけど」 「それは僕も同じ」 ちょっと待て。 「ふたりとも、私の意思はどうなるの?」 お互い顔を見合わせて、それは、とか、だってなあ、と口にした。 なんであなたがたはいつでもそんなに仲がいいの? 私が呆れた瞬間、ミズキさんが視線をずらし、言いたくないとでも言うように斜めをむいた。 「姫香ちゃん、初めて会ったときから君は、僕の行為に特別な意味を見出そうともしないくらい平然とそれを受け止めたよね」 そう、だっただろ

    florentine
    florentine 2013/05/25
    グダさん、どうもありがとうございます! 体調のよろしいときにでも是非よろしくお願いします☆
  • 唐草銀河:騎士 10

    Back Index Next そんなことは知っている、このオレをなめるな。 そう罵ってやろうとしたはずが、唇は無残に震え、言葉を紡ぐことなく閉じられた。 アウレリア姫――夢か幻かと思い続けたオレの命の恩人、盗賊に誘拐された幼いオレを救い出してくれた乙女は、帝国の姫君であったのだ。 恐るべきことに、それが「現実」だ。 身の回りの人間を惨殺された衝撃のためか、オレはいっとき言葉を失い、当時の記憶そのものに欠落がある。だが、傷を負った小さな身体を抱きしめて安心させてくれたひとの、やわらかな胸と甘くやさしい花の香り、その麗しき相貌は忘れたことがなかった。 『歓びの野は死の色す』における「アレクサンドラ姫」は、アウレリア姫の形代だ。現実の皇女は革甲冑にこそ身をつつんでいなかったが、男装の姫君であった。まして彼女を護衛する一団は盗賊退治まで見事にやってのけた。 エリゼ派総山への使者として立った彼女

    florentine
    florentine 2012/12/30
    【宣伝】#syosetu  #novel  #fc2 #小説 #ファンタジー #アルファポリス お約束通り、年内更新いたしました―! ていうか、どのくらいお待たせしたか忘れちゃった、てへぺろ☆ でも書きますので引き続きよろしくお願
  • 唐草銀河:騎士 9

    Back Index Next それからアンリはふと視線をはずし青銅製の衝立へと顔をむけた。天才芸術家サルヴァトーレ作と云われる華麗極まる祭壇衝立は、通常とちがい無味乾燥な背のほうをこちら側に見せている。向こう側におさめられているのは『騎士』の肉体に他ならない。 もとは書庫であった場所――つまり当時、ゾイゼ大神官の命により新神殿に遺贈された葬儀録等が置かれていた図書室――の書棚などを取り払い、エリス姫はそこにルネ・ド・ヴジョー伯爵の肉体を安置した。 かの女公爵がエリゼ城に起居したことはご存知のとおりだ。彼女は国主であり、その城の持ち主人なのであるから当たり前に思えるが、はたしてそれは当然としてよいことなのかどうか……。 オレは、エリス姫が古神殿で眠らなかったことを知っている。そしてまた、太陽神殿神官となったニコラ・バトーが内密に、だがたいそう熱の篭もった真摯な想いで、彼の主であったものの

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    florentine 2012/12/13
    【宣伝】#syosetu  #novel  #fc2 #小説 #ファンタジー #アルファポリス 今月中に更新します。ペースはゆっくりですが書きつづけていますのでお付き合いの程よろしくお願いいたします!
  • 唐草銀河:騎士 8

    Back Index Next 「目を覚まされましたか」 ヴジョー伯爵の長髪が額をかすめ、汗のにおいが鼻をついた。臭いのはいやだと断りをいれたのに、こいつが風呂も入らず闇雲に押し倒してきたのだと思い出す。 どうやら絶頂で気を失ったらしく、のぞきこむ顔は笑み崩れている。 公国一の美男がなんとしたことだ。宮廷の女官どもにこのやにさがった助平面を見せてやりたい。しかも、むっとするほど雄臭い。洗い立ての亜麻布に、埃にまみれた馬の獣臭さと汗を吸い込んだ革の饐えた匂いが充満している。オレはなんでこんな奴に圧し掛かられてよがっていたのか自分を疑う。こたえは明瞭だ。オレも溜まっていただけで、それ以上のことはない。 大きく息をついて睫を伏せると、上に乗っかった男は汗で濡れた首筋にまとわりつくオレの金髪を丹念に指で撫ではらい、また耳にかけやり、そうしてあらわれた耳の尖りにかるく歯をたてた。オレが肩を揺らすと熱

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    florentine 2012/12/12
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  • 唐草銀河:騎士 7

    Back Index Next エリス姫の呪い――それは、『騎士』に手を触れるものへの警告にとどまらず、この世界への呪詛がこめられている。 騎士に手を触れるものあらば、太陽もろとも地は崩れ去り 青きひなげしをみだりに摘むものあらば、そのもっとも愛するものを奪う エリゼ公国に山がないのは知ってのとおり、この国には火山帯がない。地震とは無縁の土地柄だ。いっぽうで、夜が明けないという恐怖は古代から語られてきた。日の神が殺される伝説――つまり、「日蝕」である。 月の神が兄の日の神エリオを陥れる神話は古来数多く伝えられている。この神話に由来して、月神の信徒には暗殺を生業とする秘密の一派が存在するといわれてきた。古くは賢帝時代の書物にその記述があり、またエリス姫の時代にはその存在が真実のものとして明るみに出た。 トマ・クレマン――史上もっとも名高い月神の暗殺者である。 ポンティニー子爵家に生まれたトマ

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    florentine 2012/12/11
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  • 唐草銀河:騎士 6

    Back Index Next アレクサンドルの呼びかけにこたえて振り返り見たのは、声をかけた当人でも副官アンリエットでもなく、橘卿のなにか言いたげな黒い両目だった。彼女――僕はすでにそれを知っている――はオルフェより優れた能力者であり、その来訪はアレクサンドル一世によって預言されていた。 そのことをオルフェは知らない。否、彼だけが、知らない。と言っていいほど《夜》の関係者のあいだでは著名な預言であった。 そしてまた、僕の双子の弟のオルフェは、僕の当の「弟」ではない。 彼は、この《夜》のために特別に創られた存在で、女神の神殿が秘儀のすべてを注ぎこんだ霊媒師だ。 むろん、彼はそれも知らない。ただこの秘密はさいぜんの預言とちがい、彼だけが除け者なわけではない。とはいえそれを知るものは生きている人間では片手で足りる。 僕は、僕とよく似た顔ながらまるで趣のちがう相手へと微笑んでみせ、つづいて遥か

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    florentine 2012/12/10
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  • 唐草銀河:騎士 5

    Back Index Next 兄とアンリエットは並んで先を進んでいた。カンテラを持っているのは当然のこと男装のアンリエットのほうだ。そして僕は、どうにかして彼女とふたりだけで《夜》を回避すべく話し合いたかったがこうなってしまってはどうにもならない。タチバナ卿は先ほどまでは僕の焦りを察してくれていたようだったが、いざ地下道におりると両目を輝かせて曲がり角のしるしを見つけては、これがあの道順を示す記号ですかなどと尋ねてこられた。それに上の空でこたえるわけにもいかず、知っているかぎりのことを話さなければならなくなった。そうしてみると、この少年は十三歳という幼さにかかわらず怜悧であるいっぽう、やはりまだまだ子供らしいところもあると、失礼ながら、可愛らしいと感じた。 それにしても、貴い身分の方を供もなくこんな地下道を歩かせる無謀に加担してしまった僕は、ずいぶんといいかげんにすぎる。もっとも、こんな

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    florentine 2012/12/09
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  • 唐草銀河:騎士 4

    Back Index Next トマスはぎょっとして目を見開いた。かろうじてその場に留まったが、緊張のためか、わずかに肩はあがっていた。そうした一連の自分の反応が目の前の白装束をきた聖職者への嫌悪感に基づくものと悟り、あからさまに赤面した。シャルルは先ほどから何も変わらないというのに、ただその言葉を聞いただけで態度を変えた自分を彼は恥じた。対して、神官シャルルは穏やかな声でつづけた。 「クレメンズさん、何かを明かすというのはこういうものです。知ればどうにかなるということではありません。むろん、互いの理解のためには壁を乗り越えて打ち明けていかなければならないのかもしれません。けれどそれは容易なことではないのです。黙っていれば、その身が守られるということもある。関係が壊れないということも。個々人の問題だけでなく、さきほどあなたがおっしゃったようなすべてと呼んでも差し支えないような広い範囲にまた

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    florentine 2012/12/08
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  • 唐草銀河:騎士 3

    Back Index Next 「ほんとうに、百年以上前に死んだ方が【召喚】されているのですか?」 たしかに【召喚】されていた。ただし、それはオルフェ七世の純然たる能力のみに帰せられることではないのだが、いまここでそれを語ることは避ける。また、その死者の【召喚】という秘儀について、若い国からきた青年がどの程度理解しているかも疑問だった。いちおうトマス・クレメンズの名誉のために断っておくが、彼は『歓びの野は死の色す』その他の《夜》に関する書物はひととおり紐解いていたし、エリゼ公国や大陸全土の歴史についても無知ではなかった。それでいながらすこしばかり世間を知ったつもりの人間が陥りがちなあの過ち、驕り高ぶりという毒に侵されていたがために、自身の目で見たものしか信じないと言い切る無恥に取り込まれがちだった。むろん、さればこそ、彼ははるばる海を越えてきたのである。そのことは大いに評価されてしかるべき

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    florentine 2012/12/07
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  • 唐草銀河:騎士 2

    Back Index Next 黄金の巻き毛のしたで水色のひとみが煌いた。トマスはかるく息をのみ、つづきを待った。 「エリス姫の遺言により、『騎士』に手を触れることは許されていません。ですが、その姿をみることはできます。ぼくの目では、ヴジョー伯爵はとうてい死んでいるとは思われません」 「屍蝋化した遺骸ってのは見たことがあるが……この国のひとびとは、呼吸や鼓動くらいたしかめたって罰はあたらないと考えなかったってことですか?」 「もちろん、『騎士』の身体を科学調査すべきという意見は多々ありました。ですが、《死の女神》教団がそれを許容しませんでした。現実的にあの黒衣の騎士たちを蹴散らしてヴジョー伯爵に近づくことは困難です。さらにはこの国のいったい誰が、われわれの母であろうとしたエリス姫を裏切り、彼女のもっとも愛した人物を貶めることができましょうか?」 「貶めることになると?」 「眠っている者に手

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    florentine 2012/12/06
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  • 唐草銀河:騎士 1

    Back Index Next ここで、ふたたび時をもどす。 『騎士』をどのようにすべきかと悩み、彼のいた「時」へと帰そうとするものたちの時代へと。 オルフェ七世を含めた四人が宰相の次の間から地底におりきったころ、ふたりの人物が古神殿に到着した。ひとりは純白の式服に泥はねがつかないか気にしながら門前へと足早にすすみ、もうひとりは一張羅の三つ揃えが濡れることを厭うたが、それにもかかわらずゆっくりと、まるで水の上をわたる風のような足取りで聖域を歩いた。ふたりは古神殿の表門でなく裏手、かつて捨て子を受け入れるためにおかれた目隠しのある扉と嬰児の受け皿がわりの張り出し窓を横目にしながら、修道院の白亜の回廊をめざし、屋根のあるそこへと辿りついた。後ろを歩いていた青年が息をもらしたのに気がついて、前をいく太陽神殿の神官は振り返った。華奢な二の列柱がつららのごとく並ぶ回廊はその白大理石が雨に洗われて輝

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    florentine 2012/12/05
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  • 唐草銀河:白のエリス姫 6

    Back Index Next それを聞いたアンリは肩をそびやかして反論した。 「貴女様のような方にお仕えるのは気苦労が絶えず大変ですが、わたしは無能な人間は反吐が出るほど嫌いなので、公爵様からお暇を出されない限りはこの国で働かせていただくつもりでいます」 「それはおれへの追従か?」 「騎士らしく、敬意(オマージュ)を捧げさせていただいたつもりですが、お気に召さなければ撤回いたします。忌憚なく申しますが、わたしは、君主とは民を守り導く『父』であると教わってきて、いまもそうと信じています。貴女様が女性であられるのはわたしには不都合な事実ですが、だからといって貴女様が君主に相応しくないとは思っておりません。わたしは、そうした貴女様の許でこの国を豊かにし、侵略から守り、強くしたいだけです」 「おれは違う」 アンリは翡翠色の両目でその真意を探ろうとして、相手の顔をみつめた。 「アンリ、おれの目標は

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    florentine 2012/12/04
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  • 唐草銀河:白のエリス姫 5

    Back Index Next アンリは反論せずにはいられない自分を殺したくなったが、それは言われたほうも同じ気持ちだった。だから彼女は囁くように笑ってつぶやいた。 「たしかに、死んでいるわけではない」 「ええ、そうです」 「だがな、ルネが死んでいてくれたほうがよかったと思うようになるとサルヴァトーレに言われたとき、おれは、なにもこたえられなかった」 「公爵様?」 「ルネが生きていればこの国がむざむざ侵略されることはなかっただろうと思い、モーリア王に結婚を迫られたときにも、ルネさえいればこんなことにはならなかったと思う自分が情けなかった」 「それは、ですが」 「アンリ、おれがこんなことを口にするとおかしいかもしれないが、ルネにはじめて会ったとき、彼がお伽話から抜け出してきた騎士のように見えた。おれは少し恥ずかしくて、兄の後ろに隠れたくらいだ。自分の理想がそこにあらわれたように思ったからな。

    florentine
    florentine 2012/12/03
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  • 唐草銀河:白のエリス姫 4

    Back Index Next こたえは決まっていたが、アンリも命は惜しかった。 「皇帝陛下のご命令に背くと如何様な処罰があるのでしょうか?」 「そなたが陛下へ尋ねればよい。おれは知らぬ。黄金宮殿で申し開きして来るのだな。おれが断ったわけではないと書いておく」 アンリは謀られたことを知って顔色を変えた。座したままの公爵は血のように赤い唇をゆがめて、こんな手にかかるとは、そなたらしくもないと笑った。 「恐れながら」 「言い訳は許さんよ。陛下はこのおれにどうしても夫を用意したいらしい。早く言えば、国の安泰のために子を産めということだ。ヴジョー伯爵家の若君よりそなたのほうがよかろうと決めつけてきた」 「私見でも、ヴジョー伯爵家のお血筋を取り込まれたほうがよろしいと存じますが?」 「あの若君にはすでに帝都に婚約者のいる身分だ。その可憐な姫君を押しのけて、ひとまわりも年上の女がしゃしゃりでては格好が

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    florentine 2012/12/02
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  • 唐草銀河:白のエリス姫 3

    Back Index Next 「公爵様」 騎士アンリは常に、どんなときでもこの国の君主を名前では呼ばない。それどころか、故意になのか、たまにその敬称を男性名詞と同じように発音する。呼びかけられたほうも同様に男言葉を用いているためそれで問題にはならないが、居心地の悪い思いをする側近たちもいなくはない。 今日は、後ろに控えていたサルヴァトーレの一番弟子が責めるような目つきで彼を見たが、もとより呼ばれた人が気にしていないのだからアンリも気にしようもない。 卓上には、鳥人が描いたとしか思えない精密な地図と、船の模型がおかれている。今まで筏で航行していた河を運河に仕立て帆柱のついた船をはしらせようというのだ。百年二百年かけての大事業を、この女公爵はいとも簡単なことであるかのように許可した。どこからその資金を調達するのかとアンリは頭を痛めたが、それもおそらく自分の仕事になると割り切って、モーリア王

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    florentine 2012/12/01
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  • 唐草銀河:白のエリス姫 2

    Back Index Next そして、宰相の次の間に落ちた沈黙をわずらわしく思ったのは異国の大使ではなく、それを自らつくりだしてしまったオルフェ七世のほうだった。彼は自分の不器用さに苛立つかわりに少々おおげさなくらいに落ち込んで、では、これにて失礼させていただきますと口にした。橘卿は、目の前の青年はアンリエット嬢に用事があったのではないかと思ったが、それをあえて問題にしないだけの分別という名のやさしさがあった。ところが、往々にしてそうした分別も思いやりもないのが身内というもので、まさに彼が退出しようとしたそのとき、この国の公爵アレクサンドルとその副官アンリエットが黄金の角笛を吹き鳴らすがごとく堂々と入室したのである。 「ふたりしてどうして……」 唖然としてつぶやいたオルフェに向かい、女装姿の公爵が呆れ顔でこたえた。 「オルフェが脱走したと報せが来た。かわいそうに、この雨のなか鳩が知らせて

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    florentine 2012/12/01
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  • 唐草銀河:白のエリス姫 1

    Back Index Next 「アンリエット! アンリエット、いないのか?」 オルフェ七世が青銅製の隠し扉を押し開けて目にしたのは、名前をよんだ当人ではなく、華奢な少年の姿だった。少年が闖入者に声をあげなかったのは驚愕のせいに違いなく、片手で覆えるほどの小さな顔は紙のように白くなっていた。 「し、失礼! まさか他にひとがいると思わなかったもので……」 謝罪を口にしながら、当然のことオルフェは気がついた。もしや、いま彼が目の前にしている人物は、あの神秘の王国「鳥首国」から派遣された弱冠十三歳の「大使」ではないのかと。そして、少年のほうも同じく察した。自分の前にあらわれた人間こそ、次期葬祭長「オルフェ七世」であると。 公の人間であるとみなされる人物同士、非公式の会見であればあるほど相応の政治的配慮が必要とされる。ましてや、こうした不慮の事故の場合はなおさらだ。 さて、オルフェ七世としては秘密

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    florentine 2012/11/28
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  • 唐草銀河:《夜》 9

    Back Index Next 「ずいぶん遠慮がちに降る雨だこと……」 つぶやきが硝子窓にあたり、白く曇りました。そしてまた、そこにうつっていた橘卿とよばれる数え十四の少年の顔も、記憶の彼方へと追いやられたようにぼやけます。その後ろの、わたしが憧れてやまなかった『白のエリス姫』のお姿さえも、一瞬だけ、見えなくなりました。 ――おまえは女人なのだから、万が一のことがあっても、名を惜しむことはない。何もかも忘れて幸せになりなさい―― 兄は、とつくにへ旅立つわたしへとそういいました。 わたしの兄は、鳥首国の大君です。 いえ、大君でした。今ほど聞いたばかりですが、祖国で大規模な政権交代が起きて、一族は更迭されたとのことです。戦がおきたという知らせはなく、なにもかもが平和裏に、滞りなくすんだそうです。兄たちがとりあえず命永らえたと知り、そのことは天に感謝しないとなりません。 そして、橘卿と呼ばれる少

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    florentine 2012/11/27
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