あと1週間早く武漢市が対策に乗り出していれば――。これほど早く中国全土に、そして世界各地に新型コロナウイルスが拡散する事態は避けられたのではないか。武漢から遠く離れた北京に暮らしていても複雑な感情がこみ上げてくる。 武漢市の対策が後手に回った結果、ウイルスは1月中旬から始まった春節(旧正月)の帰省ラッシュに乗って拡散してしまった。初動が遅れたのはなぜか? 国営メディアのインタビューに応じた武漢市長の発言から順に検証してみたい。 「中央の許可なし」と市長が釈明 武漢市長の周先旺(しゅう・せんおう)氏(57)は1月27日に中国中央テレビの単独取材に「我々の情報発表の方法には各方面が満足していない」と前置きして次のように釈明した。 「発表がタイムリーでなかったことについては、これが伝染病であり、伝染病には『伝染病防治法』があり、法に基づき発表しなければならないことを理解してほしい。私は、地方政府