いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間を含めて二十年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。 なんという”いきなりさ”だろうか。どう転んだって面白そうな導入だ。”普通ではない”物語を覗けそう、という下世話な期待。しかし、物語は予想だにしない場所に転がっていく。ちんぽが入らない。とにかく入らない。その入らなさが、出血と共に執拗に繰り返される事で、愛する夫のちんぽが入らない、という稀有で残酷な現実が、普遍のものとして物語にドーンと貼り着く。すると、浮かびがってくるのは、子どもを作らずに2人で生きていくことを決断した”普通”の夫婦の話なのである。その決断に至るまでの20年間に、2人にどんな出来事があり、どんな感情の流れがあったのか。それは本来であれば、知り得るはずのない他者の人生の”奥行き”のようなものである。その奥行きの途方もない広がりに圧倒さ
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