経済成長は、大切である。しかし、実質的な成長でなければ意味が乏しく、インフレの高進で名目的に成長率が高まっただけだと、日本経済の抱える問題の解決に資することにはならず、逆に問題を悪化させる恐れすらある。例えば、インフレ率の上昇を反映して名目成長率と名目利子率が同率で上昇したとすると、日本の財政収支はむしろ悪化する可能性がある。それは、これだけ膨大な公的債務残高を抱えている状況下では、税収の増加を利払い費の増加が上回ると考えられるからである。 こうした点は、私自身も以前に述べたことがある(「デフレ脱却は信頼できる確約か」)が、高橋洋一氏は、こうした主張をする者に「財政破綻論者」というレッテルを貼った上で、そうした主張がインチキであるかのように論じている。しかし、私には高橋氏の主張の方にむしろ論理的な陥穽があるように思われる。こういうときには、本人にまず聞いてみた方がよいと思うので、次のような