長らく日本のリベラル言論をリードしてきた朝日新聞が、危機的な状況に陥っているという。1990年のピークから20年にわたり誇ってきた800万の発行部数も、ここ10年はつるべ落としのように急落を続け、2022年には約半分の400万部あまりまで激減し、2021年度にはついに400億円を超える大赤字に転落してしまった。ほぼ同時期に他の新聞社も軒並み発行部数を落としているが、その中でも朝日の凋落ぶりは群を抜いている。 朝日新聞の発行部数が激減するようになった直接のきっかけとしては、2014年に相次いで発覚した「2つの吉田問題」が挙げられることが多い。これは2011年の東日本大震災に起因する原発事故をめぐり、当時福島第一原発の所長だった吉田昌郎氏が政府事故調に対して語った調書をめぐる「吉田調書」報道と、文筆家吉田清治氏の従軍慰安婦に関する証言をめぐる「吉田証言」報道がいずれも不適切なものだったことが指