(2009年10月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 中国の外貨準備はあまりに多額であるため、数字をなかなか認識できないほどだ。だが、その残高はこのわずか半年間で3180億ドルも増えている。アルゼンチンの1年間の国内総生産(GDP)に匹敵するような額である。 2兆ドルを突破し、なお増え続ける外貨準備 現在の外貨準備は総額2兆2700億ドルに達しており、金融危機に対処する保険はかなり厚く積み立てられている。しかし、中国自身が今年になって気づいたように、巨額の外貨準備は落とし穴でもある。その3分の2が脆弱なドル建て資産とあっては、なおのことだ。 中国では、この外貨準備をどうすべきかという激しい議論が続いている。昨年の金融危機の際には、ドル建ての資産を売却して保有残高を圧縮し、浪費癖のある米国を罰すべきだといった主張が数多く飛び出した。 しかし、そのようなことをすればドルと米国債の
2009年10月17日、広州日報によると、東南アジアでは、米ドルの値崩れを嫌い、貿易取引において中国通貨・人民元で決済する動きも出てきているという。 【その他の写真】 同紙によると、米ドルによる決済は依然として主要な方法であるものの、米ドルの値崩れによる損失を避けるために、通貨バスケット制を採用する企業もある。さらに、中東、東南アジアを中心として、人民元による決済額が増加し始めているという。 輸出において米ドル決済を採用した場合、レートの下落の影響を最小限に抑えるため、その米ドルを現金化しないまま、次の原材料購入などに当てるなどの方法も考えられている。たとえば、あるプラスチック玩具メーカーの利潤率は3%だが、米ドルが下落すれば、すぐさま赤字に転落する危機に直面している。そのため、米ドルによる利益を外部に流しだすことで、自社の損失が表面化するのを防ごうとする企業が多くなっているという。 そこ
バラク・オバマ大統領率いる米政権が中国の為替政策に対する懸念を和らげている――米財務省は議会に近く提出する報告書で、中国を「為替操作国」として認定しないと見られている――のだとすれば、アジア諸国でも同じことが言える。 中国政府が事実上、再び人民元をドルにペッグ(固定)したために、元相場はここ数カ月間で近隣諸国の通貨に対して大幅に下落し、縮小する輸出市場で中国企業を有利な立場に立たせている。 だが今のところ、アジア諸国では驚くほど、元安に対する懸念が聞かれない。 アジアが最も注目しているのは元ではなく、依然としてドルだ。ドル安は自国の対米貿易の展望を直接脅かすと考えているからだ。さらに、元が過小評価されていることについてアジアで気を揉む動きがあったにせよ、中国経済の回復とそれが醸成する信頼感というプラスの影響によって、元安懸念は和らげられている。 人民元安のマイナスよりも、中国経済回
金融危機以降、ドル暴落のリスクが日増しに高まっている。米国の財政赤字が急増し、貿易収支もほとんど改善されていない。 ピッツバーグで開かれた世界主要20カ国首脳会議(G20)で、世界経済が直面する最大の危機はその不均衡にあると指摘されている。中でも世界経済の不均衡をもたらす最大の問題は、米国経済の不均衡である。 米国の赤字体質を助長する外部要因となっているのが、日本と中国の貿易黒字体質である。日中は輸出依存の体質で、毎年巨額の貿易黒字を計上している点で共通している。 また、両国は貿易黒字で米国債を買いためて(外貨準備を増やし)、米国の財政赤字を支えている。したがって、世界でドル暴落を最も心配しているのは中国と日本であるはずだ。 「為替レート切り上げで貿易黒字が減少する」という誤解 貿易と外国為替の関係について、経済界には1つの誤解が存在する。それは、自国通貨の為替レートが過少評価されて安すぎ
(2009年9月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 中国は「良い危機」を経験した。そのことは、2週間ほど前に大連で開催された世界経済フォーラム(WEF)の「夏季ダボス会議」で明白になった。中国の自信は手に取るように感じられた。だが、不安感も明白だった。 巨人はショックを生き延びた。しかし、中国の景気回復を先導しているのは、新規貸し出しと固定投資の急増だ。長期的には、中国は消費を増やすことで、自国経済の均衡化を図る必要がある。今、中国人はもっと楽しむべき時なのだ。それが不快なものになり得るだろうか? 入り混じる自信と不安 確たる自信と不確実性の両方を見事に捉えてみせたのは、温家宝首相その人だった。温首相は会議で、こう語った。「前代未聞の世界金融危機は中国経済に多大な被害をもたらした。しかし、我々は難題に立ち向かい、確たる自信を持って難問に対処した」 だが、温首相は同時に「中国経
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く