第11回 歴史に学ぶ中国経済の論理 乖離する国家と社会 これまでこの連載では、「個人」と「壁=システム」との対峙、という点に注目しながら、現代中国が抱える様々な問題点について論じてきた。このうち、後者の「壁=システム」を象徴するものとして、「国家」がその筆頭にくることは間違いがない。だが、我々が作り上げたものでありながら、時として巨大な壁のように我々の生活を圧迫してくるシステムには、必ずしも国家に還元されないような側面も存在している、ということもまた忘れてはならないだろう。 たとえば、今年になって生じた東日本大震災において、わたし達は原子力発電という本来はわたし達の生活を支えてくれるはずのシステムが持つ危険性、すなわちシステムが暴走し制御不能になることによって個人の生活が脅かされることの理不尽さについて思い知らされることになった。これはもちろん、一義的には、これまで国策として原子力
鳩山政権の地球外的外交センスは米国を困惑させ、そして恐らく激怒させているようだが、必ずしも米国同盟のパワー構成上の対抗にある中国を利しているわけではない。恐らく中国もチンプンカンプンで困惑しているだろう。というのは中国が危険視する、「中国に一番憎まれている女性」にして「ウイグルの母」ことラビア・カーディルさんと、中国を分裂させるとして敬称の「ラマ」を付けずにダライとのみ呼び捨てされるダライ・ラマ14世が、やすやすと来日し、先週、東京の外国特派員協会で相次いで記者会見もした(期待された二人の会見はなかったようだ)が、これまでの自民党政権時代と比べると、中国はそれほど圧力をかけてこなかった。中国としても、真意も掴めず空気も読まない鳩山さんに明確なメッセージを出しても、いろいろとやっかいなことになるかもしれないと、想定せざるを得なかったのだろう。 いや、ダライ・ラマはこれまでも何度も来日している
いつになったら中国は、永遠にドルを蓄積し続けることはできない、と理解するのだろうか。すでに中国の外貨準備は2兆ドルを上回っている。今後5〜10年の間に、中国は外貨準備を4兆ドルにまで積み上げたいと思っているのだろうか? そうだとしたら、中国はまず、欧州が犯した1970年代の過ちから学んだほうがいいだろう。 50年代から60年代の欧州は、現在の中国のように、為替の固定相場を維持するために巨額の米財務省証券を貯め込んだ。しかし、70年代に入ると、ベトナム戦争の巨額の戦費と原油価格の高騰によってインフレが高進。その結果、ドルの購買力は大幅に低下してしまった。 ただ、中国はそんな事態を懸念する必要はないのかもしれない。なぜなら、米ピッツバークのG20首脳会談に集まった指導者たちが「再びインフレが起こらないようにあらゆる手段を講じる」と約束したからだ。彼らが主張する戦略の柱は、“国際的な不均衡”
北京オリンピックも終わりました。今回のオリンピックでは中国勢の活躍が目立ちます。メダルの獲得数は他の国を圧倒しています。日本が東京オリンピックで変わり、韓国がソウル・オリンピックで変わったように、中国も大きな社会変化を経験することになるでしょう。様々な政治問題を抱えていますが、これを機に本格的な民主化を始めないと、本当のオリンピックの成果は得られないでしょう。単に国威発揚で終わったのでは、何も得るものはないでしょう。多くのメディアでは「オリンピック後の中国経済」を特集しています。すでにオリンピック後の中国経済をどう見るかについてはかきました(ブログ参照)。そこで世界経済の低迷や人民元高で成長鈍化は避けられないが、急激に悪化する可能性は低いと分析しました。今回は人民元との関係に焦点を当てながら中国経済について分析してみます。その中国の通貨制度の歴史的な背景を踏まえながら、将来を展望してみまし
台風が近づいて時々大雨が降る18日、光点台北で米国のドキュメンタリー映画「達喇蟆十問(10 Questions for the Dalai Lama、ダライ・ラマへの10の質問)」を見た。私はチベット独立を支持するが、正直いって(だからこそというべきか)それほどダライラマ14世は好きではない。ただチベット問題についてアウトラインを描いているだろうと思ってみた。映画としての出来はよい。ただ、制作人がしょせんは米国人という点で、思想的・内容的には薄っぺらいものだったし、それからダライ・ラマ14世の中国と「市場」というものに対する甘すぎる幻想というか期待を見せ付けられて、14世に対する私の評価をますます下げた。 もちろん、だからといってダライラマのいっていることのすべてが同意できないわけではなかった。中共が何かという暴力を使うのは、「むしろ彼らの弱さの証明なのです」という点は同意できるし、監督
日本の軍艦、中国へ平和の旅――フィナンシャル・タイムズ 2008年6月26日(木)11:31 中国関連のこれまでのFT記事 ・がれきの中で決然と しかし再建復興が中国政府の試金石に ・無残な聖火リレーが中国に投げかけたもの ・五輪の聖火、中国を焦がすか ・中国の筋書きはチベットの民族対立を隠せず ・チベットをめぐる認識ギャップ 西側はそう見るかと中国、怒る ・日中関係の「毒性」やわらぐ ・ 2008年アジア アジア台頭は世界を利する ・中国政府の検閲について言いたい(編集済みの)いくつかのこと ・「2つ買って1つ捨てる」 中国の金持ちは笑われても平気 ・中国の消費者は国産品を好む ・ロシアと中国、西側への挑戦 ・新興経済の未来に大きな課題 ・中国で内部告発は危険 告発者は希少な絶滅危惧種に ・中国人なら病気になってはダメ 医療費現金前払いの国で ・安い中国は高く
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