インドの農民は、天気の話ばかりしている。5月になると、大地はかまどのように焼けつき、畑はどこも黄色く干からびる。井戸は涸(か)れ、それをあざ笑うように灼熱の太陽が照りつける。そんな時、農民たちが話題にするのが、いつ、どのようにして夏のモンスーンが到来するかということだ。ただ、ことあるごとに話にのぼるわりには、確実性に欠ける話題だ。 モンスーンは例年6月初めにやってきて、それから4カ月弱の間に、この国の年間降水量の4分の3以上に当たる雨を降らせる。農民たちの表現を借りれば、モンスーンは“最初はシカのようにやさしく始まり、やがて怒りくるったゾウになる”という。ただし、ゾウで始まってシカになることもあるし、“ニワトリのように”先の読めない困った降り方をすることもある。要するに、誰にも予測できないのだ。それでも誰もがモンスーンを話題にせずにいられない。 2008年5月中旬、インド西部の大都市、ムン
インド北部の農業地帯に2エーカーの農地を持つシャイフル・ラフマンさんは、生まれてこの方ずっと、水の供給源がどんどん地下深くに沈んでいくのを見てきた。 「子供の頃は、水は地下15フィート(5メートル)のところにあった」とラーマンさん。「55歳になった今、雨がずっと少なくなり、帯水層の水面は地下90フィートまで下がった」 2年前、ラーマンさんは10万ルピー(2080ドル)を投じて深さ220フィートの井戸を掘った。先代から引き継いだ深さ70フィートの井戸が枯れてしまったからだ。 米の一大生産地であるパンジャブ州では、水を大量に使う稲作が地元の水資源を食いつぶしてきたために、多くの農家が同じくらい深い井戸を掘っている。 農家や都市部の水不足は、インド全域でかねて懸念されてきたが、今年は弱いモンスーンのせいで一段と深刻なものとなっている。モンスーンの到来が遅かったうえに、降雨量が少ないのだ。
サウジアラビアの国王は今年、一束の稲を受け取る儀式を行った。サウジの海外農業投資のためのアブドラ国王イニシアティブと呼ばれる計画の下で生産された最初の収穫物の一部である。 稲はエチオピアで栽培されたものだ。ここではサウジの投資家連合が1億ドルを投じ、エチオピア政府からリースされた土地で小麦や大麦、米を栽培しようとしている。 投資家は最初の数年間は税金を免除され、すべての収穫物をサウジに輸出することができる。 その一方で、国連世界食糧計画(WFP)は2007~11年の間に、飢餓と栄養失調の恐れがあると見られる460万人のエチオピア人に23万トンの食糧援助を提供するために、サウジの投資家たちとほぼ同額(1億1600万ドル)の資金を投じる。 サウジの計画は、世界の貧困国で猛烈な勢いで広がりを見せつつ、同時に物議を醸している流れの一例だ。資本を輸出する一方で食糧を輸入する国々は、資本を必要
高橋 初めに申し上げておくと、僕はいわゆる中国専門家ではありません。あくまでも農業の専門家、食料の専門家です。多くの中国専門家は中国そのものを研究していますが、私は中国という国を研究しているのではなく、中国で生産されている食料について、農作物を実際に作っている農民について、さらには、どういう農地を使って農業をしているか、どのような生産をしているか――といったことを研究しています。 中国の農業を本格的に研究し始めたのは15年ほど前になりますが、それまでも様々な国の農業を研究してきました。日本はもちろんのこと、アジアや米国、ヨーロッパなどで農民に話を聞き、農業の実態を調査してきました。私の関心事は、日本で消費している食料がどのように作られているか、農民がどのように食料を作っているか、その暮らしぶりはどうなっているか、というところにある。 ―― 中国の農業を研究しようとしたきっかけはどこにあった
中国が15日間の春節(旧正月)期間に入った頃、中国の温家宝首相は、スイスの瀟洒なリゾート地、ダボスで世界の実力者たちと懇談していた。 春節も終わりに差しかかった2月8日、温首相は全く趣の異なる場所に現れた。白いきれいな運動靴が目を引く姿で、河南省楊北村の麦畑を視察したのである。 温首相はしゃがみこんで地元の農民たちと話をし、今、河南省を含む華北・華中の7省を襲っている厳しい旱魃を乗り切るための援助を約束した。 この地域で100日間雨が降らなかったことを受け、中国政府は過去50年間で最悪となるこの旱魃に対して、最高レベルとなる「1級旱害警報」を発令。特例の旱魃救済金として新たに3億元(4400万ドル)の追加投入を決定した。 過去50年間で最悪の旱魃、政府も対策に乗り出したが・・・ この資金は、人工降雨ロケット砲弾から、新しい井戸の掘削、給水タンクローリーに至るまで、あらゆる水不足対
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