ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (56)

  • 兼業ライターの苦しみと喜びについて語る - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazon明日3月1日に『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という僕の初の単著が出るのだけど、これをPRするために(すでに書いた内容紹介文とはべつに)何か書きたいなということで兼業ライターの苦しみと喜びについて書いてみよう。初の単著、書くのは楽しい経験だったが、業を別に持つ人間として、時間的制約など大変な面も多かった。そのあたりは話としておもしろいのではないか。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 最初に個人的な情報を明かしておくと、僕は都内のWeb系企業でプログラマとして働く30代の男性である。プログラマは23歳の新卒の時からずっとそうで、時によって正社員だったりフリーランスだったりと転身を繰り広げ、休止期間も時にはさみながらブログや原稿を書いてきた。転職

    兼業ライターの苦しみと喜びについて語る - 基本読書
    fujipon
    fujipon 2023/02/28
  • 二人組の作家エラリー・クイーンがどのように小説を書いてきたのか、その愛憎入り交じった過程について──『エラリー・クイーン 創作の秘密』 - 基本読書

    エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年 作者:ジョゼフ・グッドリッチ国書刊行会Amazonこの『エラリー・クイーン 創作の秘密』は、二人組の小説家であった伝説的ミステリ作家エラリー・クイーンの執筆が具体的にどのように成し遂げられてきたのかを、主に1947年から1950年の間の往復書簡から浮かび上がらせた一冊である。国書刊行会からは以前、別著者ではあるが評伝『エラリー・クイーン 推理の芸術』が出ているが、今回の『創作の秘密』とは装丁も同趣向であり、実質姉妹編のような形になる。 僕にとってクイーンはミステリ作家の中でも最上位に好きな方の作家なので、発売日に買って期待して読み始めたのだけど、めちゃくちゃおもしろくて一気に最後まで読み切ってしまった。二人が物語を創り上げる過程は平穏なものではなく、お互いを受け入れられず、強く非難し、説教し、脅し、とまあよくこれでまだ縁を切ら

    二人組の作家エラリー・クイーンがどのように小説を書いてきたのか、その愛憎入り交じった過程について──『エラリー・クイーン 創作の秘密』 - 基本読書
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    fujipon 2021/06/11
  • 映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』 - 基本読書

    映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術 作者:スティーヴ・ハルフィッシュ発売日: 2021/01/21メディア: 単行『映像編集の技法』は映像編集技師であるスティーヴ・ハルフィッシュが、スターウォーズにシビル・ウォーなど大作映画から『ブレイキング・バッド』のようなドラマの担当まで、50人以上の映像編集者へのインタビューをまとめた一冊である。 映像編集といっても体験したことがないと想像しづらいだろう。たとえば、一映画では当然映像は一繋がりの一しかないが、撮影時には何回も同じシーンも撮りなおし、カメラも複数台存在する。そうなったら、上がってきた映像や複数あるカットの中から、最適なものを選びとっていかなければならない。複数のテイクにいい演技が分散していたら、それをつなぎ合わせることもあるし、台詞の間をほんの一瞬切り詰めることで印象を大きく変えたり、映像の時間の流れをコントロー

    映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』 - 基本読書
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    fujipon 2021/02/07
  • ハヤカワの1000作品が最大50%割引の超大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する!! - 基本読書

    三体 作者:劉 慈欣発売日: 2019/07/04メディア: Kindle版うおおおコロナで外に出る理由もない今日この頃、突如として早川書房から1000作品が最大50%割引の超大型電子書籍セールをはじめたのでオススメを紹介します!! 早川は毎年、海外SFだったり日SFだったりと、わりとテーマを絞った数十〜数百点規模のセールはやっていたのだけど、垣根がなくここまで大規模のセールははじめてでは!? 早川といえばSFとミステリと科学ノンフィクションなので、そこらへんを重点的に紹介してみようかと思いやす。ちなみにセール商品全点は下記の通り。 www.amazon.co.jp SF篇 まず「これは当然だよなあ?」レベルの王道から行くと、なんといっても劉慈欣の『三体』だ! 識者らがアンケート形式で投票し、その得票数でランキングを決める「SFが読みたい!」というムックのランキングで2位を大きく突き放し

    ハヤカワの1000作品が最大50%割引の超大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する!! - 基本読書
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    fujipon 2020/03/13
  • 今年も早川書房が海外SF作品の電子書籍セールをはじめたので、新刊を中心におすすめをピックアップ! 2019年版 - 基本読書

    ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF) 作者:ウィリアム ギブスン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/04/30メディア: Kindle版この数年は毎年の恒例となっている早川書房の海外SF作品電子書籍セールが今年も(2019年)このぎりぎりの年の瀬に始まったので、SFマガジンの海外SF書評欄の連載担当として今年もおすすめをピックアップいたします。全体は下記参照。 www.hayakawabooks.com 毎年セールの顔ぶれが違うのでおすすめする作品もがらっと変わってくるのだけれども、今年ありがたいのはウィリアム・ギブスンによるサイバーパンクの金字塔『ニューロマンサー』や『クローム襲撃』や『ディファレンス・エンジン』が入っていることかな。他、アシモフのファウンデーションシリーズや、ヴォネガットやクラークやディックの諸作品など、有名どころが勢揃い。 特にギブスンの作品はどちらかと

    今年も早川書房が海外SF作品の電子書籍セールをはじめたので、新刊を中心におすすめをピックアップ! 2019年版 - 基本読書
    fujipon
    fujipon 2019/12/25
  • 私人としての側面からみえてくるもの──『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』 - 基本読書

    岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 作者: ほぼ日刊イトイ新聞,100%ORANGE出版社/メーカー: 株式会社ほぼ日発売日: 2019/07/30メディア: 新書この商品を含むブログを見る任天堂の社長だった岩田聡さんの言葉を厳選し、編集し、まとめたになる。ほぼ日刊イトイ新聞にて編集されており、構成の元になった原稿はほぼ日掲載の対談が多く、それ以外のものも「社長が訊く」から持ってきたものなので、内容の多くはWebで読めるものである。僕は岩田聡さんのファンでほぼ日も読んでいたから見覚えのない文章というのはほとんど存在しなかったが、でも抜群におもしろかった。 岩田さんが任天堂の社長になるまでの個人史を語っている「岩田さんが社長になるまで。」。岩田さんの仕事観、どうやってHAL研究所をまとめあげ、その後桁の違う大企業である任天堂でマネージメントを行ってきたのかを語る「岩田さんのリーダー

    私人としての側面からみえてくるもの──『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』 - 基本読書
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    fujipon 2019/08/12
  • 失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』 - 基本読書

    書はジャイロモノレールについての概説書である。 ジャイロモノレールとはレールが一の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発され、その後大戦に突入したことで開発は中断。そのまま、それを成立させる技術も失われてしまっていた。 もともとモノレールが1レールで移動できるので、鉄道と比べれば2倍の輸送効率となり、ジャイロモノレールは既存の鉄道レールの上に乗っかってバランスをとることもできれば、それ以外の場所でもレールを一置くだけで走行できるなど、敷設費が安くおさえられる利点がある。ジャイロスコープを用いた車体の構築など、体費用は多額という難点もあり、一長一短ではあるものの、使い所はあるとみられていた。だが、一度開発が中断した後、再度この技術を再現しようとする人は長らく現

    失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』 - 基本読書
    fujipon
    fujipon 2018/10/10
    この新書、少しめくってみて、あまりにもマニアックすぎると敬遠したのだが、この書評を読むとけっこう面白そう。
  • 何を、どのように書いてきたのか──『筒井康隆、自作を語る』 - 基本読書

    筒井康隆、自作を語る 作者: 筒井康隆,日下三蔵出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/09/19メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る作家・筒井康隆がこれまで自作をどのような考えのもと書いてきたのかをデビュー作から順々に語っていくインタビューが元となった一冊である。作品について語られるだけでなく、当時のSF業界や文壇のエピソード、映画やアニメにまつわる話などもたっぷり語られていく、筒井康隆ファンにとっては非常に贅沢なである。 読んでいて驚かされるのが、筒井さんが実によく何十年も前のエピソードや自作のことを覚えていること。ショートショートや短篇のことなんか、もう意図も何にも覚えてなくてもしょうがなさそうだが、聞き手の日下三蔵さんがあれはどうだこれはどうだと作品名を上げると「ああ、あれはね」と当時それを書くことになった経緯や、意図や狙いを解説してみせる。もちろ

    何を、どのように書いてきたのか──『筒井康隆、自作を語る』 - 基本読書
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    fujipon 2018/10/08
  • 『ストーナー』の著者による、恐ろしいほどに美しい物語──『ブッチャーズ・クロッシング』 - 基本読書

    ブッチャーズ・クロッシング 作者: ジョン・ウィリアムズ,布施由紀子出版社/メーカー: 作品社発売日: 2018/02/26メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る『ストーナー』が”再発見”されたジョン・ウィリアムズの第二作目がこの『ブッチャーズ・クロッシング』である。『ストーナー』は農家の息子だったウィリアム・ストーナーが大学へ進み、文学に出会い、一生を終えるまでの物語だが、これを15年に読み終えてから僕はこの作品を人に薦めまくっていた。薦めまくっていたというか、プレゼントするような機会があった場合、迷わずこのを渡していたのである。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp それは単純に、この『ストーナー』という物語がおもしろいからだし、同時に、失敗の多い、妥協と諦念に彩られ、しかしささやかな達成も訪れる、複雑な陰影を持ったストーナーの人生には、読む

    『ストーナー』の著者による、恐ろしいほどに美しい物語──『ブッチャーズ・クロッシング』 - 基本読書
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    fujipon 2018/05/31
  • 辺境作家と歴史家の「ここではない何処か」を追求する読書会──『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』 - 基本読書

    辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 作者: 高野秀行,清水克行出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2018/04/05メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る『世界の辺境とハードボイルド室町時代』で自由に世界の辺境と中世日にさまざまな共通点を見出してみせた高野秀行さんと清水克行さんだが、それが売れて加えて二人の仲も良すぎたので、こうやって第二弾も出た。これがまた、前作とは大きく異なる方向性ながらも前作と同様に”超時空比較文明論”になっており、二人がやたらと勉強熱心・知識・知見が旺盛なこともあって魅力的な読書に仕上がっている。 歴史をひもとけば、地球を駆けまわれば、私たちの社会とは異なる価値観で動く社会がたくさんある。「今、生きている世界がすべてではない」「ここではない何処かへ」という前著のメッセージに共感してくれた読者の皆

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    fujipon 2018/04/13
  • どんな風に育つと読書好きの子どもになるのだろうか。 - 基本読書

    新版 指輪物語〈1〉/旅の仲間〈上〉 作者: J.R.R.トールキン,J.R.R. Tolkien,瀬田貞二,田中明子出版社/メーカー: 評論社発売日: 1992/05/01メディア: 単行 クリック: 96回この商品を含むブログ (15件) を見る僕は割合を読むのが好きで、暇さえあればだらだらとを読んでしまう。 ただ、それはアニメを観たり映画を観たりゲームをやったりといった他のことと比べて”好き”なのかといえばそこについてはよくわからない。たとえば僕にとってはアニメを観たり映画を観たりゲームを”しはじめる”のに行動力を10ポイント消費するとすれば、を手にとって読み始めるには3ポイントぐらいしか消費しない、つまり好きというよりかは”手をつけやすい”だけなのではないかなと思ったりする。 で、いつを手をつけやすくなったのかといえば、記憶にある限りかなり古い時からそうやってばかり読ん

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    fujipon 2018/02/17
  • 共感しない方がよりよい結果を得ることができる──『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』 - 基本読書

    反共感論―社会はいかに判断を誤るか 作者: ポール・ブルーム,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2018/02/02メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る他者にたいして共感するのはいいことだと思われている。ひどいめにあった人をみて、強く感じ入り、そのつらさを共有する人は、一般的には善良な人だ。より多くの人がもっと他者に共感するようになれば、他者に暴力をふるったりすることもなくなるのではないかという考えもある。”もちろん、共感には利点があるけれども”、しかし全体を通してみると害も大きい。単純化すれば、それが書の主張となる。 私自身も、かつてはそう考えていた。しかし今は違う。もちろん共感には利点がある。美術、小説、スポーツを鑑賞する際には、共感は大いなる悦楽の源泉になる。親密な人間関係においても重要な役割を果たし得る。また、ときには善き行いをするよう私たちを導くこと

    共感しない方がよりよい結果を得ることができる──『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』 - 基本読書
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    fujipon 2018/02/04
  • 基本読書10年目に突入しました。 - 基本読書

    7月24日に突入しました。 plaza.rakuten.co.jp 10年という数字に意味はありませんし、ここから何かが変わるわけではないですけど、これまで書いたことがなかったことでも一応書き残しておこうかと思います。 このブログはいかにして駆動されているのか このブログはもともと神林長平先生の『膚の下』を読んで書きはじめられたブログなのですが、それとは別にもう一個動機もあって、「ネットの書評ブログの感想は弱い」ということでした。僕が『膚の下』を読んだ時、これはこの宇宙で最高の小説だし、僕の人生において今後コレほどの衝撃を受けることはないだろうと確信し、その衝動みたいなものを一緒に誰かに分かち合って欲しいと思いネットを検索しました。 それなのに何ページめくっても『膚の下』おもしろい〜と三行ぐらい、あるいは十行ぐらい書いてあるWebページが出て来るのが関の山で、僕はといえば「そうじゃねえだろ

    基本読書10年目に突入しました。 - 基本読書
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    fujipon 2017/07/27
  • 読書によって夫婦の相互理解は深まるのだろうか?──『読書で離婚を考えた。』 - 基本読書

    読書離婚を考えた。 作者: 円城塔,田辺青蛙出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/06/22メディア: 単行この商品を含むブログを見る円城塔、田辺青蛙の小説家夫婦が、課題を出し合い交互にそのについてのエッセイを連載することによって、夫婦の相互理解につとめる──そんなコンセプトではじまったWeb連載が一冊にまとまったのが書である。かたや理系で、わけのわからない抽象的な小説を書くと評判の円城塔さん、かたやホラー・怪談作家で読むとしては実話に近いものを好む傾向がある田辺青蛙さんと、書くものも読書傾向もさっぱり合わない二人だが、はたして読書で相互理解は進むのか!? 攻撃としての相互理解 ……といえば、相互理解はなかなか進まない! そもそも好きなんか数百冊読むような人たちが集まったところでお互いの趣味領域が一致することは稀である。 その上、確かにスタート時点ではコンセプトが「読

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    fujipon 2017/06/30
  • 確かなことなんてひとつもない──『騎士団長殺し』 - 基本読書

    騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行この商品を含むブログ (14件) を見る騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行この商品を含むブログ (10件) を見る村上春樹氏の新刊である。って僕が宣言しなくてもみな知っていると思うが、新刊なのは確かである。読む人は読むし、読まない人は読まないだろう。つまり僕が紹介する意味もあまりないから、振り返りながらざっくりとした感想を書いてみたい。 簡単に全体を通しての感想を先に述べておくと、前回の長篇『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』からは4年、より格的な長篇『1Q84』からはおおむね7年ということで、久々に村上春樹によるガッツリとした物語を読めたなという満足感

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    fujipon 2017/03/01
  • 『ユリシーズ』から『これはペンです』まで──『実験する小説たち: 物語るとは別の仕方で』 - 基本読書

    実験する小説たち: 物語るとは別の仕方で 作者: 木原善彦出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2017/01/23メディア: 単行この商品を含むブログを見るこの世には実験小説と呼ばれるたぐいの作品がある。実験=experimental というぐらいだから、要するに普通の小説ではない。そもそも"普通の小説"を定義するのも難しいが、まあ、登場人物がいて、ページをめくると物語が前に進んで、読める言葉で書かれていく、あたりから外れた工夫が凝らされた小説といえる。 たとえば最近再刊行もされたコルタサルの『石蹴り遊び』。このの冒頭には読み方を指示する「指定票」がある。なぜそんなものが必要なのかというと、『石蹴り遊び』は「向こう側から」と題された一部、「こちら側から」と題された第二部、「その他もろもろの側から」と題された第三部から成り立っており、これを順番で読んでいくような構成にはなっていないのだ。

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    fujipon 2017/01/22
  • ハヤカワ文庫補完計画作品を全部読んで/レビューしてのあとがき&目次 - 基本読書

    早川書房70週年を記念して行われた『これまで小社の歴史を彩ってきた名作・傑作70点を、新訳・復刊・新版で装いを新たに刊行してまいります。』という、「ハヤカワ文庫補完計画」に勝手に乗って全レビューしていたのだが、これが終わった。最初は1点につき1500字くらいの簡単なものを予定していたのだが、それでは到底不可能なことがわかり結局どれも3000字ぐらいかけて格的に書いてしまった。 とはいえ普段レビューを書いていない人間が突然書き始めたわけでもないし、普段書いている記事の一部分がこの企画にとって変わっただけでもある。やり遂げたという感じでもなく、あれ、終わったのか、という呆気なさの方が強い。なんとなく「終わったらあとがきを書こう」と決めていたから今これを書いているけれども、特に何か書くことがあるわけでもなかったりする。まあ書いていれば何か出てくるでしょう。 なんでこんなことをやろうとしたのかと

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    fujipon 2016/04/22
    これは本当にすごい。そして眺めているだけでも楽しい。
  • パイロットだけど何か質問ある?──『グッド・フライト、グッド・ナイト──パイロットが誘う最高の空旅』 - 基本読書

    グッド・フライト、グッド・ナイト──パイロットが誘う最高の空旅 作者: マーク・ヴァンホーナッカー,岡由香子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/02/24メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るついうっかりまとめサイトみたいな記事名にしてしまったが、『グッド・フライト、グッド・ナイト──パイロットが誘う最高の空旅』は現役のボーイング747パイロットがその職務についているときに(あるいはついていないときに)考えたあれやこれやがおさめられている──エッセイというか、体験記のようなだ。 あらためて言われてみれば、パイロットがどのようなことを体験し、何を考えているのかは興味深い。何しろ彼らが就いているのは週末にロンドンと東京を気軽に往復し、一日のうちにいくつものタイムゾーンを乗り越え続ける特殊すぎる仕事だ。体内時計もすっかり狂ってしまっていることだろう。今週はケ

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    fujipon 2016/02/24
    これは面白そう。
  • 科学がそのままプロットを創りあげる──『オデッセイ』 - 基本読書

    火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF) 作者: アンディ・ウィアー,小野田和子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/12/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF) 作者: アンディ・ウィアー,小野田和子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/12/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る『火星の人』を原作とする映画オデッセイを鑑賞した。 これは一言でいえば心地のいい映画だ。 あらすじは「植物学者ワトニーが火星に取り残され、生き残るために僅かな物資と科学知識を総動員する」でだいたい説明できる簡潔明瞭なもので、次々と致命的なピンチが訪れるわりに陽気なワトニーに引っ張られストレスがかからない。 どこか特定の箇所に、何度も観たくなるような燃えるシーンがある……というのではなく、全編を通して登場人

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    fujipon 2016/02/09
  • 45年の歴史が一冊に──『ハヤカワ文庫SF総解説2000』 - 基本読書

    ハヤカワ文庫SF総解説2000 作者: 早川書房編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/11/20メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (5件) を見る基的な説明をしておくと、書はハヤカワ文庫SFに納められた作品が2000番まで割り振られたということで、記念にSFにマガジン2015年4,6,8月号で行われた特集をまとめて一冊にしたものである。3号に渡って行われたその特集とは、1番から2000番までのSF全てを解説するという離れ業で、隔月刊となってそのぶん分厚くなったにも関わらず3号を費やす巨大特集となったのであった。 には何か追加があるんですか、というのは当然気になるところだが、まず特徴的なこの異常な表紙──未刊になった『ターザン』シリーズを除いた1996点を繋ぎ合わせたもの──はすぐに目につくだろう。これは中で拡大バージョンが数ページに渡って掲載され

    45年の歴史が一冊に──『ハヤカワ文庫SF総解説2000』 - 基本読書
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    fujipon 2015/11/27