「パゴはさ、緩衝材つぶすの好き?」 「え?」 「好き?」 「そうだねぇ。パチンて思い切りつぶせたら、気持ちいいよね」 「わかる。まぁ、めんどくさいからあんまりやんないけど」 「ねぇ、フリゼちゃん。そんなことより早く行った方がいいよ。歯医者さん」 「ん~」 「ひょっとしてまた、めんどくさがってる?」 さっきから歯医者行きを勧めてくるのは、同い年のいとこ、パゴロウ。 内弁慶で外ではおどおどおとなしいくせに、あたしにはちょっぴり口うるさい。 上手く聞いているふりを身に着けなければならないんだけど、どうしても全く聞いていない感が出てしまう。 「歯茎が腫れてるんでしょう?」 「まぁね」 たまに腫れる歯茎。 いつも勝手に治る。 だから医者にはいちいち行かない。 行かないって決めてるんだけど、今回はちょっとだけ痛みがひどい。 「昔12歳くらいだったかな?初めて歯茎が腫れてその時はさ”なに?急に歯茎っ!”