オーウェルの評論集が 平凡社ライブラリーに あります。いまは うりきれの状態です。古本で さがすしか ありませんが、ともかく『水晶の精神 オーウェル評論集2』は いい本だと おもいます。 7ページほどのエッセイの「復讐の味は苦い」を よみなおしてみました。1945年の文章です。 ドイツ系の、あるいはオーストリア系のユダヤ人がナチスに怒りを向けるのを、非難するのは馬鹿げている。今のこのユダヤ人にしても、いくら腹いせしても飽き足りないほどひどい目にあわされたのかもしれない。彼の家族が皆殺しにされたということも大いにありうる。結局のところ、気ままに捕虜をひとつ蹴とばすというのは、ヒトラー体制が犯した暴虐に比べれば実に些細なことである。にもかかわらず、この情景を含めてドイツでのさまざまな見聞から私が痛感したのは、復讐や懲罰という観念はまったくたわいない白日夢だということだった。そもそも復讐などとい