ピーター・ドラッカーが強調する「真摯さ」は、サン=テグジュペリの「夜間飛行」にあった。 飛行士が書いたものとして有名だし、じっさい操縦席に居るように生々しい。まぶしいほどの星明りを浴びながら、嵐の目を上昇するシーンは、同じ光を肌に手に瞼に感じるだろう(絶望感とともに!)。徹底して削ぎ落とされ・濃縮されており、描かれなかった場面が、幻肢のようにうずく。そう、飛行士の嫁さんのとこだ。彼女の不安とその先の感情は、削られたからこそ、わたしの肉が削がれたように感じる。 しかし、ここでは夜間飛行の指揮を執るリヴィエールについて書く。郵便会社のマネージャーとして欧州-南米航路を受け持つ。自分に厳しく、同じ厳しさを部下にも強いる「情け容赦のない」プロフェッショナルだ。飛行士や整備士と交わす会話の端々から、畏れられ絶対視されていることが分かる。だが、リヴィエールの内省に触れると、彼の繊細さ、思いやり、感受性