わたしは高齢者の貧困問題について、『下流老人』(朝日新聞出版)を書いた。その過程で気づいたことがある。それは、若者の貧困と高齢者の貧困は密接につながっているということだ。若者たちへの支援が十分でないと、彼らが年齢を重ね、老後を迎えた際の生活状況が凄惨(せいさん)なものとなる。 消費意欲が高いにもかかわらず、多くの若者がすでに消費できない状況にある。下流老人の実態をテレビ報道などで目の当たりにすればするほど、若者たちは老後を憂い、保身的になり、萎縮してしまう。自分自身もああなってしまうのではないかと、不安に駆られ、消費行動にそれは現れる。モノを買ったり、積極的に何かを学習するなどの「自分への投資」をできる資金を稼いでいたとしても、老後のためにせっせと貯蓄に走る。 貧困は、物質的にも精神的にも・・・ 定年を迎えた時、年金がもらえるかどうか分からず、自分の生活の先行きも不透明で、禁欲的な生活を送