はじめに 2000年代の開発現場では、UML という語は一種の共通語でした。オブジェクト指向を語るならUMLを知っていて当然だとされ、書籍も研修もツールも、その前提で組まれていました。しかし現在、日常会話の中で「UMLを描こう」と言う場面は激減し、代わりにMermaid(軽量な図記述ツール)やPlantUML(テキスト記述からUML図を生成するツール)で必要な図だけを書くという言い方が普通になっています。この落差は、単なる流行語の交代ではありません。設計の正本をどこに置くのかという、開発の重心そのものが移った結果です。 本稿はラショナル起源の重いUML と、ファウラーが後から整理した 軽いUML と、2010年代以降の 高速な開発環境 が、どのようにぶつかったのかということを語ります。結論を先取りすれば、消えたのは図そのものではなく、UMLという名称に付着していた制度と商売でした。そして残

