アフガン中に広がる衝撃と嘆き 「アンクル・ムラード(ムラードおじさん)」──中村哲医師(享年73)は、支援していた人たちからそう呼ばれていた。 中村医師は、アフガニスタンとパキスタンのハンセン病患者を治療するため、1980年代に故郷・日本を離れた。 だが、中村医師は診療所で治療する患者より多くの人が干ばつで亡くなっていることを現地で知り、新しい使命を担う。灌漑だ。 彼は、日本古来の技術を取り入れて用水路を建設し、100万人の住民が暮らせる居住地域をつくることで、干ばつで住む場所を失った村人を救った。中村医師は灌漑事業にかける思いを次のように語っている。 「ひとりの医師にできるのは、目の前の患者を治療することです。しかし、灌漑施設があればひとつの村を救うことができます。村が息を吹き返すのを見るのが、とても好きなんです」 2019年12月4日、中村医師はアフガニスタン東部ナンガルハール州の州都