アメリカを席巻するオカルトブーム 人間を破滅させるために悪魔が存在するという確信——それは、宗教と同じくらい起源が古い。 古代メソポタミアでは、バビロンの祭司らが、蝋でかたどった悪魔の小像を火に投げ入れることで「悪魔祓い」を執りおこなっていた。ヒンドゥー教の聖典『ヴェーダ』には、「アスラ」という超自然的存在についての記述があるが、現代では悪魔と解釈されている。 古代ギリシャ人にとっても、人間世界の暗い周縁に潜むのは、やはり悪魔的な生き物だった。 「悪魔の憑依」はけっしてデミウルゴス(プラトンの『ティマイオス』(岩波書店)に登場する世界の創造者)や邪視の存在した遠い過去に限ったことではない。現代のアメリカ社会でさえ「悪魔の憑依は現実にある」という考えが浸透している。 米調査会社ギャラップなどのここ数十年の世論調査によれば、アメリカ人の約半数が「悪魔の憑依」を信じているという。 また、悪魔の存