どこまでが著者の実体験で、どこからがフィクションか──小説があまりにもリアルだと、読者はついつい無粋な詮索をしてしまうことがある。村上春樹の短編集『一人称単数』は、まさにそんな作品だ。どの短編も現実離れしているにもかかわらず、読む者は本当に起きたことのように信じ込んでしまい、混乱してしまう。スペイン紙がこの新著について、村上本人に話を聞いた。 東京、青山のマンション。パソコンの前には一人の男がいて、その背後ではブラームスが響いている。 私たちには、それを見ることも聴くこともできない。なぜならこのインタビューは文面を通しておこなわれているからだ。周知のとおり、スターはこうしたやり方を選ぶことができる。そして日本の村上春樹は、紛れもないスターだ。 もしも「地球上にいる10人のグローバル作家」のリストを作ってみれば、そのうちの一人(そして数少ない非アングロサクソン人の一人)に、1949年京都生ま
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