米紙が注目する「銀工芸の匠」 京都で200年続く「竹影堂」を訪ねて | 伝統を引き継ぎながら、ユーチューブチャンネルも中村佳永（64）は、京都で「錺（かざ）り匠」と呼ばれる銀細工職人だ。中村家は200年、7代にわたってこの銀工芸品の製造を生業としてきたが、手がける品は時代とともに移り変わった。今、日本国内は外国人観光客受け入れの再開に向けて動いている。そして中村も、今後に向けて準備を進めているのだ。 「昔は刀の鞘や鍔（つば）に、花柄や幾何学模様など、さまざまに意匠を凝らした彫金品を製作していました」と、中村は話す。日本の刀は片刃の長い剣で、サムライが腰に差して歩いていた。 「服と同じで、金属工芸品が自己表現手段の一つだったんです」 しかし1870年代、明治新政府が旧士族取り締まりの一環として刀剣所持を禁じると、中村家は「商売替えをした」。 やがて花瓶や、キセルと呼ばれるたばこのパイプ、茶道や香道の道具、そして着物の帯に留めて使用する装身具の「帯留め」といった品が加わった。 現在、中村は銀製茶瓶を創作してい
