日々報じられるニュースの陰で暗躍している諜報機関──彼らの動きを知ることで、世界情勢を多角的に捉えることができるだろう。国際情勢とインテリジェンスに詳しい山田敏弘氏が旬のニュースを読み解く本連載。 今回は、昨年亡くなったことで話題になったひとりの女性スパイの人生を振り返る。男性優位なCIAで引きずり下ろされそうになりながらも戦った彼女は、どのような活躍を見せていたのか。 女性を引きずり下ろしたい男性スパイたち 2021年、米CIAの元女性スパイとして、CIA内部の「男性支配」と戦った人物が80歳で死去したというニュースが、米紙「ワシントン・ポスト」で報じられた。 女性の名は、ジェニン・ブルークナー。20年近く勤務したCIAで、彼女はシングルマザーとして世界各地の大使館を拠点に、スパイ活動を行っていた。 同紙はこう書いている。 「ブルークナーは、CIAの職員として他国に侵入し、アメリカのため