同性愛を厳しく取り締まる国が多いアフリカで、ゲイだと公表しているイマーム(イスラム教の宗教指導者)がいるという。LGBTQ+のために、社会と宗教という二つの圧力に抵抗するムシン・ヘンドリクスが、自身が力を注ぐ啓発活動にかける思いを語った。 南アフリカの首都・ケープタウン郊外にある工業団地内の質素な部屋に、サフィア・カーン(32)はいた。大学講師を勤める彼女の隣には、パートナーのタイが座っている。 2人が「マスジデゥル・ガーバー」と呼ばれるモスクを訪れるのは2回目だ。同モスクは、性的指向やジェンダーアイデンティティ、信条によって差別されるイスラム教徒(ムスリム)を支援するNPO「アル・ガーバー基金」によって運営されている。カーンは言う。 「このモスクのイマーム(イスラム教の宗教指導者)、ムシン・ヘンドリクスはとてもいい人です。彼は、タイの『三人称』が何かを聞いてくれました(註 近年、英語圏で