──新著『大転換──近代世界はいかにして作られたのか』(未邦訳)では、近代世界の出現をうながした「人口」「食糧」「エネルギー」「経済」という4カテゴリーでの転換がテーマになっています。どんな転換があったのか、説明していただけますか。 最も重要にして、すべての根底にあるのが、人口の転換です。長期的に見れば、人口動態は運命といって過言ではありません。大きな転換は非常にゆっくり進行します。だから変化は絶えず起きていても、転換が終わってから、はじめてそれに気づくことがしばしばです。 100年ほど前から1970年代までは、地球上の人口が増えすぎてしまうのではないかと心配されていました。人口爆発のせいで地球の資源が足りなくなると警戒されていました。ところが気にすべきだったのは人間の数ではなく、人間の消費水準だったのです。 いま欧米では、多くの国で人口が減り、移民を受け入れなければ長期的に人口を維持でき