日々報じられるニュースの陰で暗躍している諜報機関──彼らの動きを知ることで、世界情勢を多角的に捉えることができるだろう。国際情勢とインテリジェンスに詳しい山田敏弘氏が旬のニュースを読み解く本連載。今回取り上げるのは、世界中で捕まっているロシアのスパイについて。情報工作に長けている彼らがいま、混乱に乗じて次々摘発されている背景にあるものとは? 嘘を撒いて撹乱状態に ロシアとウクライナの間で、スパイに絡む騒動が起きているのは、この連載で前回お伝えした。 その後もロシア国内から、ロシアの国内情報機関であるFSB(ロシア連邦保安庁)が作成したとされる報告書がウクライナ側から出てくるなど話題になっている。だがそうした話は情報工作として拡散されていることも考えられ、そもそも内容が事実かどうか曖昧なままになっている。 ただ少なくとも間違いないのは、ウクライナ側もロシア側も、情報工作にかなり力を入れている