日本の各自治体がさまざまな少子化対策を講じるなか、実際に結果を出している自治体のそれにはどんな特徴がみられるのか。何が人々に子供を産もうと思わせるのか。英誌「エコノミスト」が、明石市と流山市の子育て支援事業を取材してわかった「本当に必要なこと」とは──。 キシキ・ノリヨは、明石市のある住宅の前に車を停めた。彼女が運転していたトラックには、ハートのロゴの上に「おむつ定期便 やさしさも一緒にお届け」と書かれている。おむつの入った袋をふたつ持って車を降りると、若い母親であるヒグチ・ミキが、赤ん坊を抱えながら彼女を出迎えた。 キシキは同市の子育て支援策の最前線にいる。明石市は、彼女のような配達員が赤ちゃんのいる家庭に無料でおむつや離乳食を届ける「おむつ定期便」や、高校3年生までの医療費や学校給食を無料にするといった取り組みをおこなっている。 これらの政策は効果をあげているようだ。明石市の人口は10