アン・ケナーは長年にわたり、連邦検察官としてマフィアや麻薬ディーラーと渡り合ってきた。 「スリルのある仕事が好きなんです」と言う彼女は、検察の仕事にやりがいを感じていた。自分が役に立っていると感じられたのだ。 そんなケナーの人生に転機が訪れたのは、彼女が50代のときだった。幼少期から問題を抱えていた彼女の弟が、拳銃自殺したのだ。2人は子供の頃から折り合いが悪く、33年間、口をきいていなかった。弟は社会から孤立して被害妄想に陥り、何十年も前から、家族とほぼいっさいの連絡を絶っていた。 それでもケナーは、弟の死によって「心を激しくかき乱されました。自分がなぜそんなにもショックを受けたのか、その理由を理解したいと思ったのです」と話す。 ちょうどその頃、ケナーは当時スタンフォード大学が創設したばかりの「ディスティンギッシュト・キャリアズ・インスティテュート(DCI)」という新たなプログラムについて