ノーム・タムは人生のほとんどを、企業で出世の階段を上ることに費やしてきた。40代の初めには、国際的な海運会社の重役として高給を稼いでいた。だがタムは、どうしようもない空しさを感じていた。彼は「意義」とか「目標」といった言葉をグーグル検索するようになった。 やがてタムは、4つの円から成るベン図に出会う。各円は次のように分類されていた──「あなたの好きなこと」「あなたの得意なこと」「世界が求めていること」「あなたがお金をもらえること」。タムの目は、すべての円の共通部分に書かれた奇妙な外国語に釘付けになった。それは「生きがい」という言葉だった。 カナダ在住のタムは、この日本語の単語を見つけた多くの西洋人の一人だ。「生きがい」とは、ざっくりと訳せば「存在する理由」のことである。イギリスの企業家マーク・ウィンが2014年に編み出した先述の図は、ネット上、とくにビジネス特化型SNS「リンクトイン」で急