アフリカ最大の湖であるビクトリア湖の沿岸では、漁業が盛んにおこなわれている。この地域では、船に乗って魚を獲るのはもっぱら男性の役目であり、彼らから魚を買い、市場に売りにいくのは女性の役目と、性別による明確な役割分担が存在する。 米公共ラジオ局「NPR」によれば、ビクトリア湖では1970年代頃から、乱獲と環境汚染のために、魚の数が減り始めたという。漁獲高が減ったことで、漁師たちは魚売りの女性たち全員に魚を売ることができなくなってしまった。 そうした状況から、「ジャボヤ」と呼ばれる風習が生まれた。漁師の男たちは魚と引き換えに、彼女たちにセックスを求めるようになったのだ。稼げる仕事が少ないこの地で、魚を売ることで生計を立ててきた女性たちの多くは、やむを得ず彼らの要求に応じた。 この風習が広まった結果、ビクトリア湖に面するケニアの漁業コミュニティでは、HIV感染者の割合が30%〜40%にのぼった。