カンボジアにおける代理出産は、「グレーな市場」だ。代理出産を違法とする法律はないが、ある日突然警察がやってきて、依頼主や代理母を逮捕することもある。鎖でつながれたまま、軍の病院で出産した女性もいる──。 カンボジア人のフン・ダネ(25)は2018年、代理母として男の子を産んだ。精子提供者は中国人実業家で、卵子提供者はロシア人モデルである。その後、ダネはカンボジアの裁判所で、生まれた子を自分で育てるか、さもなければ刑務所に入るかの選択を迫られた。 彼女は突然のことにショックを受けつつも、夫と協力してその子を育てている。オムツを替え、抱きしめてキスをし、もっと食べて大きくなりなさいと声をかけながら数年を過ごすうちに、産んだ子を自分の息子だと感じるようにもなった。「この子を心から愛しています」と、彼女は言う。実業家は代理出産を依頼した罪で投獄され、服役中だ。