米国で「性の研究」が冷遇されるようになったせいで、教授も学生も逃げるようにカナダに向かっている。一躍注目を集めた女性教授の「性欲と体」の最先端研究とは? 前編はこちら クイーンズ大学の臨床心理学修士課程1年目の留学生ダン・タソーンは、米マサチューセッツ州の出身だ。高校生のときに、チヴァースの研究を取り上げた「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」の記事を読んだという。タソーンは当時の感想を、「性ほど複雑なものを数値化できるとは思いませんでした」と振り返る。 そのチヴァースが現在、彼の修士論文の指導教官である。彼の目標は、女性の性的指向の流動性に関する発見をベースに、男性の場合はどうなのか研究すること。私たちは、男性が認識している自分の性的指向は安定しているものだと考えがちだが、正確なところはわかっていない。 チヴァースとドーソンの視線計測装置を使った研究は、カナダでなければ助成金を得られなかっ