赤ん坊が遺棄されて死亡する国・日本 米連邦最高裁は、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆した。これを受けて、世界中でリプロダクティブ・ケア(性と生殖に関する医療)に注目が集まる。 その目は先進諸国のなかでも、妊娠中絶にもっとも厳しい制約を設ける日本にも向けられている。 国際団体「センター・フォー・リプロダクティブ・ライツ」によると、日本ではごく一部の例外を除き、女性が中絶する際に配偶者の同意が必要になる。同様の法律を持つ国は世界に他に10ヵ国あるが、G7では唯一だ。この制約は慣習的に未婚の女性にも適用される場合が多く、その結果、赤ん坊が公共の場に遺棄されて死亡するという、他国ではあまり例がない悲劇まで起きていると支援団体は問題視する。 日本では中絶は合法だが、その手段は高額な手術しかない。避妊の実行率は低く、モーニングアフターピル(緊急避妊ピル)は高価で