「オランダ自発的人生終焉協会」 「オランダ自発的人生終焉協会」は、前出の「生命の終結クリニック協会」の親団体だ。その会員数は17万人。オランダのどの政党よりも大きい。オランダ各地で公開イベントを実施しており、同国最強の利益団体のひとつと言って間違いない。 この日のシンポジウムの演題は、精神科医が精神病患者を安楽死させたがらない傾向についてだった。 端的に言ってしまえば、エルコやアウレリアのような精神病の患者がいまより簡単に安楽死できるように現状を打開していこうと呼びかけるシンポジウムだ。 シンポジウムが開かれたホールは、オランダ中部のドリーベルゲンの郊外に位置し、高い針葉樹や養蜂箱に囲まれていた。ホールに入ると、カレー風味のパンプキンスープが入ったコップを手渡された。 私が到着したときには「精神病の患者の要請に応じて人生を終結させる際の指針」というセッションが終わろうとするところだった。