「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞の2024年の受賞者に山本理顕が選ばれた。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が審査員の評価や山本へのインタビューを交えながら、彼の建築が人々に愛される理由に迫る。 「なぜこんな奇妙な家を?」 控えめな建築で、コミュニティやつながりを静かに強調する建築家の山本理顕(78)が、建築界最高の栄誉であるプリツカー賞を受賞した。 受賞者が発表された3月5日、審査員は山本をこう称えた。 「個人住宅であれ、公共インフラであれ、学校、消防署、市庁舎、美術館であれ、彼の設計には常に公共的で友好的な側面がある。コミュニティに対する彼の絶え間なく、慎重かつ実質的な配慮は、人々がさまざまな方法で集うきっかけとなる公共のインターワーキング(相互作用)スペースのシステムを生み出した」 パブリックとプライベートの領域の境界をなくしたいという山本の思いは、1977年に完成した彼の