作品のほとんどがフランス語訳され、国内外の漫画界から高い評価を受ける日本人漫画家、高浜寛(たかはま・かん)。仏高級紙「ル・モンド」のインタビューで彼女は、自身の作風を「天草人」としてのDNAと紐付けて語った。 漫画家、高浜寛の軽快な笑いに包まれながら話をしていると、彼女と、彼女の作品に出てくるヒロインたちの共通点が見えてくる。 『ニュクスの角灯(ランタン)』に登場する、触れた物の過去がわかるみなしごの美世や、『扇島歳時記』(ともにリイド社)の禿(かむろ)のたまをからは静かなメランコリー、もしくは諦観に近いものを感じる。 「そういった傾向は私も含め、日本人にはよくあるものです」。「もし誰かに『あなたは今日死ぬでしょう』と言われたら、きっと私はそれを受け入れるのだと思います」。10月、パリを訪れた彼女は、出版社のオフィスで少し冗談っぽく、そう言った。 高浜寛の描くヒロインたちはしばしば世間知ら