家のなかにも外にも、あらゆるところに植物があるべきだ──。植物神経生物学者であるステファノ・マンクーゾは、人間中心のあり方をやめなければ、地球の未来はないと警鐘を鳴らす。 ステファノ・マンクーゾ(56)は、昔からオジギソウが好きだ。触れると枝を垂れ、ある意味コミュニケーションを取ることができる、あの植物だ。だがいまのお気に入りは、彼が「とても美しい」と形容するオレンジの木と近縁種が絶滅したイチョウの木だ。 情熱的な植物学者で研究者のマンクーゾは、植物分野の科学コミュニケーターのスター的存在であり、「植物の知性」の最大の提唱者だ。実際に、彼は植物神経生物学者でもあり、マンクーゾの250以上の論文と5つのエッセイは、この分野の科学的基盤を大きく揺るがした。その結果、近年では植物の神経科学が話題になりはじめている。 「植物は地球上のバイオマスの85.5%を占めています。動物はわずか0.3%です。