俳優の寺島しのぶとフランス人クリエイティブディレクターのローラン・グナシアの息子、寺嶋眞秀が「初代尾上眞秀」として歌舞伎デビューを果たした。仏紙「ル・モンド」も彼に注目し、その初舞台と歌舞伎界の多様性について報じている。 歌舞伎界に起きた「小さな革命」 舞台で繰り広げられるのは仇打ちの物語だ。岩見重太郎という若武者が、父親を殺した仇敵を探して諸国を行脚し、その道程で大蛇や狒々(ひひ)を退治する快挙を次々に成し遂げる。伝説のような話ではあるが、主人公は16世紀に実在した人物だ。 そんな岩見重太郎の一生に再び命を与える演目が、歌舞伎座で上演された。主役を務めたのは10歳のフランス系日本人の寺嶋眞秀(まほろ)。5月2日から初代尾上眞秀の名で歌舞伎役者として初舞台を踏んだ。 歌舞伎は男系男子による継承が伝統だ。そんな閉鎖的なギルドに男系男子ではない眞秀が入ったこと自体が、小さな革命だったといえる。