男性が女性を演じられるなら、女性が男性を演じて観客を笑わせることだってできる──男性優位の落語界に挑む桂二葉に米「ニューヨーク・タイムズ」紙が着目。女がなかなか受け入れてもらえないからといって、観客に媚びたりしない。トレードマークのマッシュルームカットで酔っ払いの中年男性を豪快に演じ、今日も観客に笑いを届ける。 高座の上で、35歳の桂二葉(かつら・によう)は繊細なピンク色の着物をまとっている。その小柄な体格と甲高い声は、日本最古の喜劇の演じ手というよりも、大学生といったほうがしっくりきそうだ。 だが彼女お得意の演目が始まると、観客は大笑いした。酔っ払って呂律の回らない香具師の中年男が、謎めいた油の薬効成分を見せつけようと、自分の腕を刺して失敗する大騒動だ。 酔っ払いや愚か者、それも多くが男性の登場人物を、幅広く演じることができる並外れた演技力のおかげで、二葉は「落語」という日本の古典的話芸