欧米の企業が次々にロシア撤退を決めるなか、リーバイスもロシアでの事業を停止した。ソ連崩壊後のロシア国民にとって、リーバイスのジーンズは鉄のカーテンの向こう側から吹き込んだ新しい「自由の風」だった。それだけに同社の撤退が意味するものは大きいと英「フィナンシャル・タイムズ」紙は指摘する。 サンプルのジーンズがほぼ盗まれた 1959年、モスクワでアメリカ博覧会が開催されたとき、米国副大統領が当時のソビエト連邦首相ニキータ・フルシチョフに見せびらかすために、ペプシ・コーラ、ポラロイドカメラ、ダッジのコンバーチブル・カーが展示された。 だが、もっとも反響を呼んだのは、リーバイ・ストラウス社のコーナーだった。ジーンズを履いた米国人が、モスクワの人々に向けてカウボーイ・ソングを披露したのだった。同社のジーンズは展示されていたサンプルのほとんどが盗まれるほどの人気ぶりだった。