近年、フランスでは「HPI」や「ギフテッド」と呼ばれる、高い知能を持った“天才”関連の書籍・ドラマシリーズがヒットしている。そしてそれは紙面やスクリーンを飛び出し、現実世界の親たちにこう思わせる。「子供が学校や社会に馴染めないのは、知能のせいかも」、「うちの子、天才児なのかも」……。実際、知能検査の要望は急増しているという。親を魅了し、振り回す。強迫観念とも言える現代社会の病を仏誌「ロプス」が調査した。 ある日の仕事中、臨床心理士のヴァレリー・レヴィは不思議な出来事に直面した。患者として来ていた子供が、IQテストに完璧すぎる解答をしたのだ。まるですでに一度受けたことがあったかのように……。「こんな高いIQがあればと、誰もが望みます」と、レヴィはため息をつく。 年間でどれだけの数のIQテストが実施されているのか、心理学者も正確には把握していない。だが、本誌「ロプス」が問い合わせた専門家は皆、