──ウクライナでは戦争が起きています。私たちはカントの『永遠平和のために』を読み返すべきですか。それとも、それを上回る戦争と平和についての哲学はあるのですか。 ウクライナだけでなく、米中間で紛争が勃発する一歩手前ですから、いまほどカントが必要とされる時代はないといえます。しかし、私の考えを言うと、カントは少し考えが甘かったです。 これはバーグルエン賞が文化や文明の枠を超えて受賞者の選考をする話と重なるところがありますが、カントの考えが甘いのは、彼が西洋の枠組みのなかで思考し、それを世界全体に投影しているところです。 実際の世界には、西洋文明だけでなく、中華文明もあります。現在の中国は、儒教の長い伝統を引き継いだ、規律の行き届いた政党によって統治されている一種の単一国家です。これは西洋のリベラルな統治とは、まったく異なったものです。 AIに関しても、西洋と中国は対照的です。オープンAIのよう