半年ほど前,早稲田大学の佐藤拓朗教授に,「通信社会の未来を予測して,これからの日本の役割はどうあるべきか語って下さい」というような趣旨で,計測展の基調講演(11月8日)の依頼に行きました。通信技術が専門の先生ですが,そのユニークな経歴からきっと面白い話をしてもらえるのではと期待していました。そして計測展が近づいたある日,メールで講演資料が送られてきたのです。 「1998年5月,豊田一郎はアウトバーンを,カールスルーエを経てスイスのジュネーブに向かっていた。天気は雨,時速180キロメートルで・・・」。なんと,送られてきた講演資料は小説だったのです。2015年までの未来を,ヨーロッパを舞台に活躍する通信会社や自動車会社の社員,総務省の役人の目などを通して描いています。いろいろな人に講演を頼んできましたが,こんな人は初めてです。 実は佐藤先生自身,通信機器メーカーに在籍していたころスイスのジュネ