「1回モグラを叩くのに100億円単位の金がかかっていたのでは,経営が立ち行かなくなる」。近年頻発しているエレクトロニクス機器の発煙・発火事故について,ある環境試験技術者からこんな話を聞きました。ここで言うモグラ叩きとは,市場で不具合が発生してから初めて機器設計や環境試験の改良に乗り出すことを指しています。些細な不具合なら問題ありませんが,発煙・発火となると企業のブランド・イメージを著しく損なうことになります。特定の不具合を一つ解決するのに,毎回それだけのリスクを抱えるというのはあまりに不利です。 もちろん,そうならないために機器の開発段階でさまざまな環境試験を実施し,基準をクリアさせているわけですが,現実問題として発煙・発火などの市場トラブルは増加傾向にあります。この背景には,機器の開発期間が短くなり,環境試験のための時間を十分に確保しにくくなっているという問題があるようです。例えば,試験