宇宙空間の絶対零度に近い闇を切り裂き、孤独な航海を続ける探査機ボイジャー。その内部で静かに脈打ち、探査機に命を与え続けているのは、放射性同位体の崩壊熱と宇宙空間の極寒との間に生じる温度差から電力を生み出す「熱電発電」である。タービンも、モーターも、一切の可動部品を持たないこの美しい物理的機構は、半世紀以上にわたってその過酷な環境での確固たる信頼を証明してきた。しかし、この宇宙で磨かれた技術を、私たちが暮らす地球上の日常的な空間へと降ろそうとする試みは、常に目に見えない高い壁に阻まれてきた。自動車の排気熱、製鉄所の溶鉱炉が放つ熱気、データセンターのサーバー群が生む膨大な熱。人類は消費する一次エネルギーのおよそ6割を大気中へと無為に捨て去っている。この広大な未利用熱の海から電力を掬い上げる試みが挫折を繰り返してきた最大の要因は、巨大な蒸気タービンや内燃機関と正面から競合するにはあまりにも低い、

