長崎は今日も雨だった。のではなく、晴れていた。そんな長崎に日帰り出張し、車中で福田先生の近著を読みあげ、長崎につくころにはトランス状態になっていた。 ブルネッレスキの代表作を網羅し、アトリビュートもあやしいものもとりあげ、多くの先行研究に言及している。いつもながら文章もこなれていて読みやすい。建築を論じて格調高いという、近年では希な書き手となられてしまった。 内容解説をここでするわけにはいかないが、印象にのこったことを二三書く。というか一点に絞られるかもしれない。つまり先行研究にたいする批判的スタンスである。 ブルネッレスキは、前ルネサンスであった、古典主義といいっても厳密にはそうでない、という20世紀の代表的な通説にたいする批判。欧米の学者が、透視画法の重要性を過大評価することにもとても批判的である。 ネオプラトニズムの視点からブルネッレスキを分析しようとする視点にたいする批判。やや唐突