こうした過ちを受けて「らい予防法」と「エイズ予防法」は廃止され「感染症予防法」がつくられた。だからこそ「感染症予防法」は、可能な限り最大限に「患者等の人権を尊重」することを条件として感染症の予防を認める内容になっているのである。 したがって、政府には適切に予防することで生命を守るという責務と、過剰な予防で不必要に自由を侵害してはならないという責務がある。危機には備えなければならないが、過剰にならず慎重に予防する必要があるのだ。 人権や自由に配慮しつつ、必要な予防措置を講じるという方針は、国際的なコンセンサスになりつつある。予防措置は必要に応じて、最も自由を制限しない手段で行わなければならないというわけだ。 しかし今回は、相手が未知のウイルスであるだけに最低限必要な予防がはっきりとしない。イタリアは大規模な封鎖を行ったことによって、大きな非難を浴びた。一方で、イギリス政府に対しては、介入が不